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65⑦

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私が余計な事を言わずとも周りは勝手に誤解をする。

「ちょっと!違うわよ」

「お義母さん!」


奥様達が騎士と役人を呼んでくれたおかげで私は顔を俯かせているだけでいい。


「彼らが赤ん坊を誘拐をしたという奴らですか」

「こんなに泣きはらして!」

「よく見るとおむつを交換していませんし、肌も…」


ここ数日ちゃんと手入れをしていないのが解る。
ベビー服も随分と汚れているし、おむつもちゃんと交換してないのが解る。

入浴後の手入れもちゃんとしていないから肌もボロボロだ。

どれだけ放置していたのかしら。



「誘拐だけでなく心身の虐待を行うとは!」

「待ってくれ!その赤ん坊は本当に姪で…」



ぎゃあぎゃあ騒ぐ彼ら。
こういう時こそ冷静にならないと駄目なのに、本当に馬鹿な人。


特に一番愚かなのはロンドだわ。
本当にここまで馬鹿だったかしら?


婚約時代はそんな馬鹿でなかった。


「大丈夫ですか?」

「ええ、ありがとうございます。でも…またこのような事がないか不安で」

奥様方が私を心配してくださる。
妙齢の娘を持つ親としては気持ちが解ると言った所かもしれない。



「大丈夫ですわ。既に約束を破っているのでしょう?」

「弁護士を代理人にして、二度と商会に入れないようにすればいいのですわ」

「警備を依頼すればいいのですわ」


連行された彼らは、早い段階で釈放されるでしょうね。

血液鑑定をすればすぐに解る事だもの。


ただ、しばらくはこの町に近づくのは難しいわ。

あれだけ騒ぎ、役人に連行されたのだから。


世間の風当たりはきつくなるわ。
既に傾きかけていると聞いているシンパシー家の商売も立ち行かなくなるし、ロンドも仕事を続けられなくなるだろうけど。


自業自得だわ。



私は娘を守りたい母親の気持ちは理解しても、許す気はない。



自分達の幸せの為に大事な娘を踏みつけていいははずがない。


だからこそ少しの仕返しは許されるはずだわ。




それだけの事を彼らはしたのだから。


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