今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ

文字の大きさ
上 下
64 / 169

64⑥

しおりを挟む



世間体を気にする彼らにとって、今の現状はよろしくない。
ならば、利用させてもらうわ。


「奥様、この方たちは…」

「ええ…困ってまして」


「まぁ!」


私が心底困った表情をすると色々勝手に想像を膨らませてくださった。


「先日も約束もなく非常識にも商会に押し入ったのを見かけましたわ」

「まさか赤ちゃんを浚って売ろうとしたのでは?」

「まぁ、最低ですわ」


勝手に勘違いをしてくれたけど、これで彼らは商会に足を踏み入れにくくなる。


「すぐに警備隊の方と役人を呼んだ方が」

「何を…」

「馬鹿な事を言うな!私達は」


誤解されているけどわざわざ誤解を解くような真似をしない。

「ここは貴女達のような外道が来る場所じゃないわ」

「そうよ!子供を誘拐するなんて最低よ!」


「渡しなさい!私達で保護するわ」


未だに泣き続けているミレイちゃんを奥様達が奪う。


「えっぐ…えっぐ」


「可哀想に。怖かったのね」

「もう大丈夫よ」


子育ての経験者故に、赤ん坊のあやし方はスマートだった。
対するシンパシー夫人は子供をまともにあやすこともできないなんて。


本当に二人の子供を育てたのか疑わしいわ。


「何で泣きやむんだ!」

「ちょっと…」


ミレイちゃんが泣きやんだことにいら立ったのか、再び泣き出す。

「ふぇぇぇん!」


この泣き方は怯えるようだった。
仮にも祖父母や叔父に対する泣き方ではない。

第三者から見れば浚って来たと思っても仕方ない。



「私達はここの女主人の親族よ!」

「そうだ!無礼な…」


「正確には元ですわ。娘と離縁した元夫と、その両親です。復縁を強引に迫られて困っていまして」

「なっ…何を言うの!」


本当に自分達の事しか考えていないわね。
何度も迷惑と言ったのに理解しようとしない。

こんな事を繰り返ししていると第三者はどう見るか。


「なるほど、脅迫して復縁を迫り、奥様にも気脅迫して来たのね」

「最低ね!今すぐ突き出すわ」


「ちょっと!」


私が手を下す暇もなく、三人はその後役人に引き渡された後に厳重注意と、我が商会に出入りすることは禁じられた。


ただ普通に禁じるのではない。
彼らには言っても無駄なのだから。


だから強制的な方法をとることになったのだ。




しおりを挟む
感想 452

あなたにおすすめの小説

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。

水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。 王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。 しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。 ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。 今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。 ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。 焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。 それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。 ※小説になろうでも投稿しています。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。

Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。 政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。 しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。 「承知致しました」 夫は二つ返事で承諾した。 私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…! 貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。 私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――… ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...