今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ

文字の大きさ
上 下
61 / 169

61③

しおりを挟む




隣で歯軋りの音が聞こえる。
そろそろ限界かもしれないけど、ここで癇癪を起してはダメだわ。


「娘は貴方達のお孫さんのお世話で疲れているのに、家事も通常通りさせられているのに、生きがいの仕事を何癖つけられ、あげく義理だというだけのけ者にされたと聞きました」

「そんな!」

「勿論、リサからではありません。隣近所からの証言に、隠し映像には虐待にまがいの扱いに息子さんから暴行を受けた証拠もありますの」


怒っていないわけではない。
だけど、大事な娘が育児で精神的に疲れているのをみてなんとかしたいという気持ちだけは理解できるわ。


ただ、頼みやすいリサにすべての負担が行った。
すべてを丸投げしておきながら感謝もないなんてあんまりだわ。


「娘は出産経験もありません。ですが私達に一度も愚痴を零しませんでした。何故か解りますか」


解らないという表情だわ。


「認めて欲しかったんです」

「え?」

「義理だからこそ、気遣いが必要です。お二人に嫁として認めて欲しかった…ただそれだけです」


私も夫の両親に最後まで認めてもらえなかった。
それでも努力を怠らなかったわ。


努力は実らなかったけど。


「娘は離縁しても貴方達を責めるようなことは言っていませんでした。なのに貴方達は娘を責めるだけなのですね。謝罪も、お孫さんの面倒を見た感謝もない…」


「でも…だって!」

「私達だって大変なんだ!」



「だったら、今度こそ血のつながった家族だけで支え合えばいいでしょう?」


家族だから助け合うというのであればそうすればいいのだわ。
リサは家政婦でしかなかったのだ。


そう思い知らされた。


「私はただ娘を…」

「その為に私の娘を奴隷のように扱っていいはずがありません」



孫可愛さにリサにしたことはあまりにも酷い仕打ちだわ。


「離縁の手続きは終わっております。幸い子供がいないので教育費の支払いは必要ありませんが、法律上、慰謝料を支払うのはそちらです!」

「だから離縁を取り下げてください!」

「既に届け出を出しています。一度離縁した場合は、余程の理由がないと無理です」



必要最低限の法律も解らないのか。
虐待を受けた女性を守る為に法律上暴行を受けた妻を元夫と復縁するには夫が側が更生した証を見せなくてはならない。


罪悪感を持っていないロンドに無理な話だわ。


しおりを挟む
感想 452

あなたにおすすめの小説

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ?

久遠りも
恋愛
正妃である私を追い出し、王子は平民の女性と結婚してしまいました。…ですが、後になって後悔してももう遅いですよ? ※一話完結です。 ゆるゆる設定です。

離婚したらどうなるのか理解していない夫に、笑顔で離婚を告げました。

Mayoi
恋愛
実家の財政事情が悪化したことでマティルダは夫のクレイグに相談を持ち掛けた。 ところがクレイグは過剰に反応し、利用価値がなくなったからと離婚すると言い出した。 なぜ財政事情が悪化していたのか、マティルダの実家を失うことが何を意味するのか、クレイグは何も知らなかった。

自分勝手な側妃を見習えとおっしゃったのですから、わたくしの望む未来を手にすると決めました。

Mayoi
恋愛
国王キングズリーの寵愛を受ける側妃メラニー。 二人から見下される正妃クローディア。 正妃として国王に苦言を呈すれば嫉妬だと言われ、逆に側妃を見習うように言わる始末。 国王であるキングズリーがそう言ったのだからクローディアも決心する。 クローディアは自らの望む未来を手にすべく、密かに手を回す。

溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。 妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。 しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。 父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。 レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。 その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。 だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

処理中です...