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59親の務め~セレナside

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伯爵家を後にした後、私達はため息をつきながらも邸に戻ることにした。


「ちゃんと幸せになってくれるといいのだけど」

「信じよう、私達の娘を」

「ええ…」

不安は消えない。
親ばかと言われても仕方ないけど、子供が可愛いのは誰もが同じ。


だけど、同じ親である彼女に対してはどうしても同情ができない。


「また彼女達の事を考えているんだね」

「顔に出ていましたか」

「奥様、同情の余地などありません!」

隣に座るばあやがぷんすか怒っている。
まぁ、リサがこれまで受けた仕打ちを考えると仕方がない。


「本当に夫婦の関係という者は解らないものだわ」

「そもそも、会わなかったんじゃないのか」

「当初は信じていましたのよ」


ロンドさんは少し思い込むが激しい部分があったけど、悪い方ではなかった。
そもそもご縁をいただいたときは不安があれど、二人で協力し合ってくれることを願っていた。


ただ姑が一癖も二癖もある方だった事を覚えている。


「夫婦で手を取り合って乗り越えて欲しかったけど…」

「同居がそもそも問題だったんだ」

「そうね。ご両親が傍にいることで気が大きくなる夫は多いわ。対する妻は遠慮をしてしまうものだもの」

未だに嫁姑問題は難しいのだから。
けれど、どの場合は夫が妻の味方にならなくてはならない。


そうでなくては嫁は孤立する。
姑と舅に強く出ることは難しい、なのに夫が妻の味方をせずに己の保身を守る為に妻を犠牲にするなんてありえないわ。



ただあちらのお母様は大事な娘が苦労しているから助けてあげたい。
家族で力を合わせてという気持ちが強かったのだけど、その負担のすべてをリサに押し付けた。

それが今回の離縁の原因になっていた。


リサも最初は頑張ろうとしたのでしょうけど…


「今でも後悔していますのよ」

「リサは私達に迷惑をかけたくない。何より同業者に早く嫁ぐべきだと圧力をかけられていたからな」

「今思えば、リサと伯爵様を引き離したかったのかしらね?」



こう言っては何だけど伯爵様のリサへの思いは解りやすい。
あれだけ表に出しているのに、気づかないリサも問題だけど。


「そんなにリサが好きなら最初から口説いてくれれば」

「いいえ、リサを思っての事でしょう」


以前はリサに対して見守るつもりだったのでしょうね。
見ていていじらし過ぎて泣けてきたわ。


結婚祝いだって涙をこらえているのが解ったし。



身分というのは本当に厄介なものだわ。


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