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しおりを挟む数日後、両親から手紙が届いた。
「しばらく実家に連絡をしないように…」
「やはりあの馬鹿共は諦めていなかったか」
手紙の内容は私の身を案じる内容が書かれていた。
ばあやも両親の元で働き始めているようだ。
ただ、あの一家が頻繁に来ては門前払いの繰り返しだそうだ。
実家の商会の悪評を広めることはできないようで安堵したけど、隙あらば私の居場所を聞き出そうとしているらしい。
しかもミレイを連れて商会に来るものだから同情でも引こうとしているのだろうか。
「自分達がどれだけ可哀想なのかアピールですの?自業自得ですわ」
「お嬢様…」
「気になりましたが、出戻り姉は来ていないそうですわね」
「手紙ではシンパシー夫妻と…」
「屑男だけですのね」
もう名前を呼ぶのも拒否している!
顔が、ごみ屑を見るような目だわ。
「マリー貴族令嬢がそんな言葉を」
「今はお許しくださいませ」
「まぁ、言い分は解るよ。何故姉君は自分で動かないのかだ」
娘可愛さに自分の生活のすべてを手放した彼ら。
娘の為ならすべてを捨てても良いと思っているなら私の事は忘れて今度はもっと相応しい方を迎えればいいのに。
「私少し気になりましたの」
「え?」
「グレイス様の事を覚えてまして?」
「勿論」
サロンで偶然出会った素敵な奥様だ。
自立心が強く次世代を担う女性代表のような方だった。
「あの方が話していた嫁の事なのですが…もしかして」
その時だった。
お嬢様の言葉を遮り、マミーが慌てて部屋に入って来た。
「失礼します!」
「マミー、今は大事な話を」
「申し訳ありません!」
普段の彼女ならこんな粗相はしない。
旦那様もどうしたのかと思ったが、窓には随分と立派な馬車が止まっている。
「先ほど火急でお手紙が」
「手紙…何で伯父上から」
「えっ…」
渡された封筒には皇族の紋章が見える。
「直筆だ」
「ええ!」
通常皇族は手紙だを出すとき直筆などしない。
「これはすぐに読めということだろう」
「玄関先に使者の方がいらっしゃいますからすぐ読んで返事を書けってことでしょ?」
更に真っ青になる旦那様は震えながら手紙を読んだけど。
何が書かれているのかしら?
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