今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ

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「やっぱり噂通り最低な夫だな!」


胸倉を掴まれなすすべもなかった。
一瞬、殴られると思ったが、殴られることはなかった。


「貴様なんて殴る価値もない」

「こんな屑夫とは…被害届は後から出させてもらう」


「被害届…」


あまりにも大げさすぎる。
僕は少し強く掴んだだけだし、痣が少し残っただけで。


「そんなたかが痣で」

「たかがだと?俺の嫁は人より肌が弱いんだ!それに体が弱く今も肩の痛みで苦しんでいるんだ!」


「娘はずっと寝たきりでようやく病気が治ったんだ!第一、妻が暴力を振るわれて平気な夫がいるものか…ああ、そうか?元妻を金ずるにした男だからな?」


「気の毒な…最低な男だ」

「噂によれば、貴様の奥様は才色兼備で働き者で義母と義父の世話をさせ、あげくに出戻りの義姉の世話までなんて。なのに、暴力を振るって追い出すなんてな」

「何所まで最低な男だ。弱みを握って妻にしただけはあるな」


「なっ…違う!」

「町では噂になっている。商家の娘さんの弱みを握ったってな!」

「そうじゃなかったら、こんな最低な男に嫁ぐか!」



僕はそんなことを一度だってしていない。
リサは僕の魅力に惹かれたからこそ結婚を望んだんだ。


「そんなはずないだろう!僕を愛しているからに…」

「ハッ!どの口が言うんだ」

「もういい、とにかくすぐに帰って被害届を出そう。正式に訴えてやる」

「待ってくれ!」


そんな…

被害届なんて出されたら僕の立場が更に悪くなるじゃないか!



リサは我儘を言って一時的に家出をしているだけだ。


離縁だって本気で考えているわけじゃない。

「だが一発は殴ってもいいだろ?殴る価値はないが」

「は?」


一瞬何を言われたか解らなかった。
気づいたときには顔を殴られたと気づくも痛みで立ち上がることもできず、そのまましゃがみ込んでいた。


「この町にお前を弁護する人間は一人もいない。噂好きの女性も多いんだ」

「待って!息子は悪気がなかったの…だから!」

「蛙の子は蛙か…謝罪する前に世間体か」


母さんは被害届だけは止めて欲しいと言うも、僕に対する心配はまるでなかった。


僕を信じようともしない。


何でだよ!


僕は孝行息子だろ?
なのにどうして僕を守ろうとしてくれないんだ!



「この馬鹿が!」

「町で騒ぎを起こすなんて!」


あの親子が帰った後も僕は二人に散々責められる羽目になった。



そんなタイミングで…


「どういうことなの!」


姉さんが里帰りをした。





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