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しおりを挟むお昼の時は離乳食もミルクも嫌がっていたけど、もしかしたらいきなり知らない人に抱かれて、怖がっていたのかもしれない。
私自身も赤ちゃんに対して態度が悪かった。
「まう!」
「そう、気に入ってくれたのね。良かった」
「あい!」
ようやくちゃんと目を見て話せたかもしれない。
この子には何の罪もないのに不機嫌な私の顔を見て怯えたのかもしれない。
「ごめんなさいね?怖かったのね」
「だぅ?」
「そうよね。貴女は知らない場所に来て知らない人にいきなり抱かれて怖かったのよね」
私はなんて馬鹿なのかしら。
これでは義母やロンドの言葉通りじゃない。
母親になる気構えができていない。
母性が欠けていると言われても反論できないわ。
でも、いきなり他人の赤ちゃんを丸投げされた私の気持ちを少しでもいいから察して欲しかった。
侍女なら赤ちゃんの世話なんて簡単なだなんてことはない。
だって、熟練の乳母でも最初は慣れるまで大変なんだから。
おしめを変えたり入浴等はできてもミルクとなると状況は異なる。
この年齢ならばだいたいは母乳と粉ミルクを交互でするものだわ。
でも義姉は粉ミルクを徹底しているということは、母乳を上げないようにしているということだわ。
それにしても、ミルクを嫌がるなんて…
「ミルクは嫌いなのかしらね?」
「まう!」
「違うの?」
「だぁ!」
まるで返事をしてくれているようだ。
私の言葉を理解するのはまだ早いし、私の勘違いだと思う。
でも、もしかしたら通じているんじゃないかなんて思う私は疲れているのかしら?
「あー!あー!」
「どうしたの?」
哺乳瓶に手を伸ばそうとするミレイ。
「喉が渇いたの?」
「だぁ!」
「でもミルクは嫌みたいだし…そうだわ。お白湯にしましょう」
ミルク用に回復薬を作る水を用意しておいた。
義母は照会で高い水を買ってくるように言われたけど、水によってもミネラルがあり、カルシウムが含んだ水がある。
ポーションに使う水がまさにそれだ。
私の実家では万能薬にもう使うような水を販売している。
「とっても小さいからきっとこの水の方が効くわね…あら?」
「まー!」
ミルクはあまり飲んでくれなかったけどお白湯は飲んでくれた。
「今度はお茶を飲みましょうね」
「まう!」
その後、お茶も飲んでくれたのでミルクも飲めるんじゃないかと思いながら試行錯誤をしながら二時間かけてミルクをのんでくれるようになったけど疲れがどっと出た私は寝入ってしまった。
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