今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ

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義姉の長女のミレイはとにかく手がかかった。
小柄であることもあり、食欲もあまりない。


「あまり飲まないわね」

「リサのミルクが不味いんじゃないか?やっぱり母親が一番だよな」

「でも、ミレイは他の子よりも体が小さくて夜泣きが酷いのよね」


悪戦苦闘している私を見ながら一家の団欒を楽しみながら話し込む光景を見ていると。

「あああ!」

「リサさん、ちゃんとあやさないとだめでしょ?母親は赤ん坊から目を離したらダメなのよ」

「ミレイちゃんはお母さんのところに行きたがって…」

「リサ、赤ん坊一人満足に世話もできないんじゃ嫁失格だろ?これから子供を産んで育てられないだろ」

「だったらロンドも手伝って…」

「姉さん、しばらくミレイの世話をリサに任せていい?この際しっかり学ばせてやらないと。リサの両親は娘に甘すぎるからさ!」


私の言葉を遮り、勝手に決めていく。
何も言ってないのに。

それに私の両親は甘やかしていない。
厳しい時もあるのにどうしてこんなことを言うの。

「酷いわロンド。私の両親をそんな風に悪く言うんなんて…」

「ふぇ…うぇぇぇん!」


私の不安が移ったのかミレイちゃんは泣き出し。


「おい何やっているんだ。ミレイを泣かすなよ」

「もう仕方ない子ね。赤ん坊は伝わりやすいのに。駄目ね」

「まったくだ。これでは先が思いやられる。しばらくミレイで学んだ方がいい…サンディと話がしたいからしばらく外に出て散歩をして来たらどうだ」


「でも、リサさんがいないと給仕はどうするの?」



雑音のように聞こえる。
この人達は何を言っているのだろうか。


私を蔑んで、それでこの場から出て行けと。




泣きたくない。


泣いてはダメだと必死に言い聞かせた私はミレイちゃんを抱きしめながら笑顔を張り付ける。


「お庭に出てきます」


この時私は上手く笑えていたのだろうか。


「あー…まんまぁ!」

「ミレイちゃん…」

「えっぐ…うっ…ああああん」



再び泣きだすミレイを必死にあやしながら心の中で泣いた私は必死に言い聞かせた。


「同居を強いられた妻は孤独だって本当ね」


噂でも聞いていた。
アン様も言っていた言葉を思い出す。


けれど今は最愛の里帰りをしているのだから。


「私は嫁だもの…仕方ないのよ」


自分に必死で言い聞かせる中、ミレイちゃんはようやく泣きやみ邸の中に入るとダイニングには誰もいなった。


テーブルにはグラスが散乱しており、散らかし放題だった。


「食事用意していたのに…」


馬車がない事に気づき四人は出かけたことに気づいた。



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