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第一章
エピローグ
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二つの国が同盟を結んで一年後。
マリンシア王国では国王が早すぎる退位を発表した。
若き王子が次代の王になるべく引退を告げた後、裏方に徹底しながらサポートをすることになり新体制となった。
王の側近だった者は一緒に引退をして息子や孫に職を譲る形になった。
…というのは表向き理由だった。
本当の理由は貴族派の残党狩りと、監視だった。
「まったく、本当に懲りない連中じゃ」
「ああいう人間は死んでも解らんだろう…だがな」
「なんじゃ、コロネ」
「その輩を踏みつけて酒を飲みながら言うんじゃない!」
不名誉な噂を流さ後、コロネは観念してユズリハと夫婦になった。
二人共平民だったので入籍はしたが、公の場で結婚式をすることはなかったのだ。
…というかコロネが土下座してお願いしたのだ。
これ以上噂が飛躍するのは困るからだ。
「コロネ様、来週の献立…義姉様、本日もまぁ」
「来たか、グレーテル。今日も大量じゃ。この馬鹿を餌にして敵国をどう吊り上げるか」
「姉上!貴女という人は!お立場をお考え下さい…今では女官長というお立場で!」
「相変わらず固い男よ」
一年前、ユズリハは国を開けている間に不正を繰り返した役人、貴族を一網打尽にした功績により女官に出世した。
マリンシア王国では侍女と女官では待遇が違う。
女官は政治に口出しをできる立場にある。
中でも女官長は王妃の次に発言力があり、法律改正に介入できる立場がある。
その地位に僅か一年足らずで手に入れ、今では国内の一部に他国で虐げられた女性を移民させ住まわせ女性だけの領地を作ったのだ。
文字通り女性だけの小さな国を作り上げ、フェリス侯爵夫人と協力し女性地位向上を.の夢を敵えつつある。
「来年は女性官僚が何人増えるか」
「最近では女の自警団が国内各地でできているそうだ」
「それはまぁ…」
国の治安が以前よりも格段に良くなかったのは喜ばしい。
だが別の問題がでてきているのも確かだ。
「フッ、これまでふんぞり返っていた馬鹿な男達め…精々思い知るがいい」
「おかげで迷える子羊のほとんどは男だ」
「どう考えてもやり過ぎだろう」
アスランは別の問題を抱えながら頭を抱えた。
「可愛い我が子の為だと思え」
「我が子に姉上の影響が受けないか今から心配だ」
そう思いながらアスランは膨れたグレーテルのお腹を撫でた。
「女の子でしたら姉君のような強い子になるといいですね」
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恐ろし未来予想ができたアスランは気苦労が絶えないと思いながら隣に愛する人があたりまえのようにいる幸福を噛み締めた。
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