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第一章
144帰国の後
しおりを挟むその後、ゆっくりの帰国となった。
行きとは異なり帰りはゆっくりの船旅となったが、船の中でもちらほらと同盟の話を耳にした。
「しばらくは同盟の話でもちきりだろうな」
「そうですね」
ここから今までずさんだった法律も改正に向かうだろう。
既に国同士で動き題しているのだから。
「男尊女卑の時代も後100年ぐらいすればなくなるだろう」
「そうですね。あの国には最強の女性がいますから」
「我が国もだか、最強の女王がいる」
法律の改正は時間がかかる。
どんなに早くとも五年はかかるが、今回の騒動も全面的に出し、数倍の速さで行われるだろう。
「貴族にも税金を払う義務を訴えるだろう。あの馬鹿達がやりたい放題をしてくれたおかげで現在は貴族に対する信頼はがた落ちだが…貴族派を悪者にできたのだから悪い話ではない」
「結局彼らは何をしたかったのか」
欲張りすぎた結果、最悪な結末を迎えたカーサは地位も名誉もすべてを失い貧乏まっしぐらになった。
あの後一家がどうなったかは知らない。
聞こうとも思わなかったグレーテルは余計な詮索はしなかった。
「身の程を弁えないからこうなるのだ。前世でもやり過ぎて自滅した者は欲に溺れただろう」
多くの欲で身を滅ぼした人間は最後に何所に向かうのか。
前世も現世も変わらないと思いながらも変わらない者がある。
「風が吹いてきましたね」
「ああ、この国も新しい風が吹くだろう」
欲望までも風が吹き飛ばしてくれる。
そう願いながら離れて行く元祖国にさよなら告げながら船はマリンシア王国に向かった。
「グレーテル帰ったか」
「え?コロネ様?」
「どうしたんだ!」
港ではコロネ達が出迎えてくれたのだが、髪が真っ白になっていた。
太っていた体格もほっそりしており一瞬誰か解らなかった。
「何があったかは聞くまい」
「はい、聞かないでください」
ぶるっと震えるコロネは遠い目をしている。
ポロリと涙を流すのを見てアスランは察した。
ユズリハがやり過ぎたことを。
「もう、今回限りにしてください」
「すまなかった。姉上が…」
「転職したいです」
今回の騒動で胃がつぶれそうな思いをしたコロネは切実にそう思った。
しかし転職しようにも国一番のパン職人であり料理人であるコロネを王が手放すはずもなく、転職は叶わず。
それどころか今回の作戦で協力をしたコロネは不名誉な噂が流れたのだった。
そう、ユズリハの熱愛報道だった。
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