君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

143幸福の道

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すべてが終わり、明日にはマリンシア王国に帰ることができると思うと安堵する。

グレーテルにとっては、既に祖国はマリンシアになってしまったのだから。


「嬉しそうだな」

「はい、ようやく帰れると思うと」

「そうか」

アスランは祖国に帰り里心ができるのではないかと不安があったので心の中で安堵した。


「私の中で祖国は既にここではありません。薄情ですか?」

「いや、それでいい」

グレーテルの頭を撫でながらアスランは思った。
領地を愛する気持ちはあれど国には未練がないのだ。

あるとすれなフェリス侯爵夫人をはじめとする、お世話になった人たちぐらいだ。


「先王陛下は後始末が終わったら、旅に出られるそうです」

「あの方は、他国に行っても暴れる気か」

「何でも、新しい国造りをするとか。貴族至上主義ではない国を」

「そうか」


まだまだ元気すぎる先王は本当に100年生きるのではないかと思ってしまう。


「あの方は本当に元気だな」

「はい、人間50年と言いますが」

「姉上は軽く150年生きそうだ」

「ははっ…」


二人して遠い目をする。
ユズリハに限らずフェリス侯爵夫人や王妃までも長生きそうだと。


「でも、どうして帰国がここまで大幅に遅くなったのはどうしてかしら?」

「いや…」

そもそもここまで長い期間滞在する予定はなかった。
なのに長居したのはなぜか。

「婚約を取り付けた後に国で大掛かりな結婚式を執り行いたいと姉上が言っていたんだ」

「まぁ、私は小さくでいいのに」

「そういったが聞かないんだ。だから許してやってくれ」

「はい」


ようやくすべての問題が片付き、結婚式を執り行うことできると思うと笑みがこぼれた。


「ああ、ようやく正式に夫婦になれる」

「嬉しいです」


すべての障害は壊すことができた。

幸せになるための階段を上ることができると思ったら安心して眠気が襲ってきた。

「疲れただろう?明日は朝が早いから寝ろ」

「はい…」


眠気に勝てずに早くに眠ってしまったグレーテルだったが。



「姉上…随分と派手にしたな」


隣で眠るグレーテルを見ながらユズリハからの手紙と、手紙と一緒に同封された新聞のきれっぱしを見る。


『悪女、牢に移動中襲われるか…』


マリンシア王国の事件が書かれた新聞記事を読みながらため息をつく。


「一番怒らせると怖いのは姉上かもしれんな」

事件の大まかな事は聞かされたが、あくまでおおまかだ。

なのだが、ユズリハが容赦をしないのを知っていたので少しばかり同情をした。


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