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第一章
142贄
しおりを挟むその後は早かった。
他国ならばお役所務めな役人の動きは遅いだろうが、フリーシアを餌にして関わった貴族を捕らえ。
尚且つ、密航を手助けした貴族がいたのだ。
いくら何でもあの三人に簡単に密航などできるはずがないのだから。
陰で手助けした貴族に証拠を突きつけ罪人として捕らえ、爵位を奪った後に再逮捕することに成功した。
フリーシア達は国籍不明という形になったので裁判をする手間も省けたのだ。
弁護をしたいという物好きな弁護士はいない。
何故なら祖国で罪人となり国外逃亡を下という扱いになっているからだ。
フリーシアと並行して、アスランに敵意を持っていた貴族も粛正した。
罪人の入国を手引きしたということを前に出して、これまでの罪もすべて明らかにしたので逃げようがなかった。
「実に楽しい時間でした」
「甘いようにも思えるが」
「そうですか?ですが、本当の地獄はこれからです」
表向きには慈悲をかけたように見せて通常よりも刑を軽くして早く刑務所から出られるように手配をしたのは裏がある。
「無期懲役なんて言い方を変えれば一生食べていけますものね」
「流石です」
フェリス侯爵夫人はユズリハの意図する行動に気づいていた。
刑罰を軽くすれば周りの同情を買うだけでなく周りの不満、怒りはフリーシア達に向けられる。
尚且つ早く牢屋から出し、世間の冷たい視線を浴びえることで追い打ちをかけるのだ。
第三者は牢屋に長らく入れられるのが酷だというが、近年では塀の中で安全な暮らしができると言う者が多かった。
ただしその場合税金が関わるのだ。
最近では殺人容疑がない罪人は早々に外に出し、世間の厳しさを思い知らせるべきだと考えられていた。
ただし、街中ではなく島流し状態にしたり、便利とは程遠い領地であることが限定だったが。
「牢屋で少しの時間、痛い目を見てもらい、その後っ放り出されればいいのです」
「ええ、その後第三者からバッシングを受け、常に悪意に晒される恐怖で生きていられるか」
「悪い方」
「フフッ…」
「クスクス」
美しい女性がお茶を飲みながら話すような内容ではない。
「怖い…怖すぎる」
「なんだ、いたのか」
「会話に混ざらなかっただけです。二人が恐ろしい話をしているので…」
最初こそ、ユズリハと二人きりだったのに、いつの間にかフェリス侯爵夫人も参加した後に巻き込まれた国王は今晩眠れそうになかった。
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