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第一章
140転落した自称お姫様⑪
しおりを挟む邸に入って来た男達はフリーシアを囲む令状を見せながら告げた。
「不法侵入お呼び、窃盗罪、暴行罪、暴行未遂として逮捕する!」
罪を数えればきりがない。
この国に来る前の罪と、港で行った罪もあるのでかなりの重罪になる。
「侵入だけでなく入国時にも支払いをしなかったという報告を受けている!」
「何で入国にお金を払うのよ…前は!」
通常、あらかじめ手続きをしない場合は出国の時はお金を払い、入国の時もお金を支払う必要がある。
免除になるのはギルドとして登録している者か、冒険者だった。
以前は、あから締めカステル家が手続きをしていたのだが、そうなるように仕組んだのはユズリハだったのだが。
「まぁ、踏み倒されたなんて。これでは不当入国として裁かれますわ。この場合どうなりますの?国に強制送還になるのかしら?」
「いいえ、彼らは既に祖国から追放され貴族籍を剥奪され、親族からも縁を切られております。先ほど確認をしましたが国は一切の責任を持たないと」
「何ですって!」
「嘘よ!でたらめを…だって国には私達の邸が…」
反論しようとしたがはたと思い出した。
邸は借金の担保にしていたことを思い出す、弁護士の依頼料の代わりを思い出すが、三人はあくまで邸だけと思っていた。
領地もすべて奪われるとは思わなかった。
「領民は逃げ出し領主を見限ったのでしょうね?夜逃げしたのだから当然だけど」
「夜逃げなんて…」
「だけど、法律を破って出国した時点で既に罪人。国も助けてくれないでしょうし…どうなるかしら」
「当然、国籍がない者として扱うので裁判をするまでもないでしょう。したとして弁護人はつかないでしょう」
「それは…まぁ」
クスクス笑うユズリハに対して三人は真っ青になる。
数時間前までは甘い夢に酔いしれていたのに数時間で状況は一変した。
祖国を失い、地位を失い、希望もなく牢屋に入れられ国籍もない状態でどうなるかと思った。
「うっ…嘘よ。そうよ…アスランを呼んで!」
「そうだ。あの平民を呼べ」
「そうだわ。私達は彼に望まれて来たのよ…無関係な人間は引っ込んでなさい!」
ガタガタと震えながらも虚勢を張る。
ここでアスランが呼んだと責任を擦り付けるか、お金を払わせて罪を軽くしようと考えたのだ。
アスランが数日前からこの国にいないことを知らずにいたのだ。
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