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第一章

136転落した自称お姫様⑦

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通常二時間もあれば王都に到着するのだが、三時間以上も何もない畑だけの道を通り、そろそろ我慢の限界だった。


「ちょっと!何でまだ到着しないのよ」

「表通りに出ればいいでしょ!」

「貴様、どういうつもりだ!」


三人は騙されているのではないかと疑いを持ち、もしかしてわざと遠回りをして金を取ろうとしているのでは?と考えたがそこで幼い少年が口を開いた。


「おじさん、馬鹿なの?それとも小説の読み過ぎだよ」

「なっ…おじ」

「隣にいる糞のおばちゃんもだよ」

「私はおばちゃんじゃないわよ!」


幼い少年はフリーシアをおばちゃんと呼んだが、まだ十七歳のフリーシアはおばちゃんなんて言われる等許せる高位じゃない。


なのだが、今のフリーシアはかなり老け込んでいた。



「えー?だっておばちゃんじゃない。座り方が…それに服もなんかだぼだぼだし。この国ではそのだぼだぼの服はおばちゃんの証なんだよ。僕のお母さんだってそんな服着ないよ」

「だな?何所の国の出身か知らねぇが…余程貧しい国か」



これ以上のない程の屈辱だった。
自身の容姿に絶対なる自信を持っていたフリーシアは落ちぶれても自分は美しいと豪語していた。


なのに第三者におばちゃんと呼ばれていた。
しかももっと許せない事を言われるのだった。


「それに物を知らなさすぎるよ」

「今どき馬車が遠回りをして金を取るなんていつの時代だ。アンタ何歳だよ」

「貧しい国ではまれにあるけど、この国ではないよ。通常馬車は前金を支払うし、そんな馬鹿な真似をすれば他の同業者が黙ってないのにさ」


御者が詐欺まがいな事をするのは一部の国。
しかも貧しい国で一部でだけだ。



「おばちゃん貧乏なんだね。可哀想…お金はあげられないけど。これあげるよ」

そう言いながら渡されたのは果物だった。


「顔色も悪いし、さっきから叫んでばっかりだもん。きっとまともにご飯も食べれていないんだね!可哀想だから僕のおやつあげるよ」


「お前、本当に優しいな」

「うん。だって可哀想な人には優しくしてあげないと」



まだ年端もいかない少年に食べ物を恵まれ、同情的な目を向けられる。
この国に来てから散々な目に合う三人はしまいには小さな子供に食べ物を恵まれるなどという経験をしたのだ。



プライドだけは高い彼らは耐えられるはずもなく。


「いらいわよ!こんな貧相な果物!」


「馬鹿にする者いい加減にしろ!孤児が!」

「何様よ!」



案の定三人は渡された果物を地面に投げ捨てたのだが…


「じちゃんが作った果物・・・ふぇ!」



親切心を粉々にされた事に少年は泣き出し、隣で鬼が大激怒した。


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