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第一章

135転落した自称お姫様⑥

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港から出た後のフリーシア達は最悪な旅だった。
船での移動時間の方がずっとましだった。


まず初めに牛車の中には、家畜が潜んでいた。
豚や山羊等が寝転んでおり、家畜と一緒に運ばれる中歌が聞こえた。


「ドナドナドーナ!」

「牛に乗せられ何所に行くのぉー!家畜と一緒に連れて行かれてぇ!」


牛車を引く男の隣に座る幼い子供が売ったっていた。

「子豚を三匹乗せて!何所まで行くのぉ!泥だらけになってぇ!」


悪気のない替え歌を歌われフリーシアは身を乗り出し、声を荒げようとした。

「黙りなさい!耳障り…」


その時だった。
頭に落ちて来た何か。


「いやぁ!」

「何だ!鳩の糞か!」

「ちょっと!止めて!」


フリーシアがいきなり立ち上がるとその傍にある大木の枝には複数の鳩の巣があり、そこから糞を落としていた。


「おい、ここらへんは鳩の糞落とし場だぞ」

「は?」

「この辺は畑だからな、鳩の糞を肥料にしているからな」


今牛車を走らせてるのは整備された道ではなく足場の悪い土だったがその下にはたっぷりと鳩の糞が埋まっていると知ると、三人は真っ青になる。


「ふざけっ…」

ぐしゃ!


フリーシアが後ずさろうとした時に何か生暖かいのに触れた。


「ひぃぃ!」

「豚が糞をしているぞ!」


「ちょっとこっちこないで!」



家畜の豚が糞を始めた。
藁の中だったので上手く身動きができず、牛車が揺れた事でバランスを崩したフリーシアは糞の中にだいぶした。


「助けて!」

「ちょっと!来ないで」

「汚い恰好で近づくな!」


実の娘にあまりな態度だ。
しかし二人は糞まみれになった娘に近づきたくない為藁を投げて距離を取る。



「おじさん、楽しそうだね」


「ああ、しかし少しは静かにできねぇのか。俺のピンキーちゃんが驚くだろうが。なぁ?」

「モォォ!」



こんな感じで彼らの旅はかなり悲惨な者だった。





「くっ、これは愉快だ!あははは!」

「おい、止めてやれよ」


牛車から少し離れた場所を走るのはユズリハの乗る馬車だった。
馬車は足場の悪い道は通れないので比較的に整えられた道を走っていたのだが、すべてはユズリハの策略だったのだ。


「ここまで上手く行くなんて思わなかったな」


「確信犯の癖に良く言うぜ。全部仕組んだくせに」


最初からの降りる港を間違えるように仕組み、あの時間に水軍ギルドが待機していることも計算していた。
あの三人の事だから港で横柄な態度を取ってトラブルを起こすのは目に見えていた。



「でも、ここまで騒動を起こしてくれるとは思わなかったが」


「本当にえぐいな」


御者に変装したコロネは頭を抱えた。
迎えの馬車も最初から乗せる気はなかったのだから。


旅路の中での嫌がらせは終わったが次なる嫌がらせはまだまだ続くとは三人は知らなかった。


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