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第一章
132転落した自称お姫様③
しおりを挟む水軍ギルドの妻は気が強く武闘派集団でもある。
他の国とは異なり、マリンシア王国の王妃の考えの元、妻にも剣術や、体術の訓練を義務付けていた。
いざ戦争になった時水軍は船を出すことになる。
留守の間に港を荒らされないようにと訓練を命じていたので今ではそんじょそこらの騎士よりも強いのだ。
「俺のかかあなんか、あの時は奇襲をかけようと言っていたからな」
「まぁ、あんな無礼極まりない真似をして堂々と来ないだろ?」
「来たとしても水軍ギルドの妻だけじゃねぇ、下町の女達は殺しにかかるんじゃねぇか?」
「だな!アスラン様は国王陛下のお気に入りだからな。我が国では身分はあんまり関係ないからな」
他国では身分至上主義という考えはあれど、マリンシア王国は今代の国王が実力主義を貫いていた。
現在の水軍も育ちは決して良いというわけではないが腕を見込まれ国王が特別の配慮により現在の地位を与えている。
水軍というのはそれだけ重宝される。
王宮勤めを引退したものにその幹部を任せるのはまずないのだが、国王が念押ししたのだ。
「アスラン様、王太子殿下の守役だ。後に国王陛下の一番の側近となるだろうよ」
「五年前にも、その話は来ていたのに断ったって話だ」
(そんな…聞いていないわ!)
ただの平民でしかないと思っていた。
運も才能もない無能な男とばかり勘違いをしていたのだ。
「まぁ何にせよ、今は大事な時期だ。アスラン様の将来がかかっている」
「ああ、正式に領地と爵位を賜る大事な時期だ」
一瞬絶望を感じたが、爵位と領地を賜ると聞きフリーシアはニヤリと笑った。
このタイミングで爵位を賜るということはフリーシアの為だと思ったのだ。
「やはり無理をして良かったわ。きっと貴女の為よ」
「ああ、そうに違いない」
「ええ…」
三人は勝手にいいように解釈をした。
…のだが。
「とにかく、こいつらを豚箱に入れるぞ」
「「「え?」」」
万事休すだった。
水軍ギルド達が縄を握り三人を拘束する準備をした。
「何をする!」
「今からお前達は拘束して電気椅子だ」
「なっ!この私を電気椅子ですって!」
彼らの目は本気だった。
見つけた不審者を拷問する気だったのだ。
ここで捕まったらアスランに合うことができない。
なんとしても乗り切らなくてはと思ったのだが、自身の名を名乗ればどうなるか解らない。
その為身元を証明することはできなかった。
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