君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

文字の大きさ
上 下
140 / 156
第一章

129排除対象

しおりを挟む



ようやくすべてが片付いたと安堵するグレーテルとは別に、暗躍していた彼らは密かに祝杯を挙げていた。


「乾杯」

「「乾杯」」


その場には先王も同席していた。


「しかしここまで上手く行くとは」

「馬鹿が馬鹿を吊り上げたというべきか」

「本当に」

新聞を見開くと罪人として裁かれたフリーシアの写真がアップにされている。


「流石ユズリハ。いい仕事をしてくれるわ」

「まぁ、流石アスラン殿の姉君です事」


再び乾杯をしながら上機嫌のフェリス侯爵夫人はにこっこりと微笑む。


「中々の写真写りですわね」

「これは令嬢ではなく老婆だな」

「ええ。このおお口を開けてるショットなんて最高です」



他人の不幸を酒の肴にする二人に怖いとびくびくする国王。
しかしこの場にいる者は国王の味方になる者はいなかったのだから。


「しかし、ここまで上手くシナリオ通りになるとは」

「ユズリハ殿のおかげですわ。あの方、軍師になれますわ」



すべてはユズリハの考えたシナリオ通りになったことを未だに驚いていた。
ここまで完璧な形で邪魔な敵対する派閥を潰せたのは、フリーシアが踊ってくれただけではなくユズリハの策略とも言えるだろう。



「女性なのが惜しいですわ」

「フッ、数年もすれば女が政権を握るだろ」

「それは楽しみですわ」


「フフッ」


美しい女性が笑みを浮かべるも、正直笑えない国王は恐怖心を抱いた。



(そんな世が来たら男はどうなるのか…)


未だに男尊女卑が強い情勢であるが、この二人が女だけの帝国を作ってしまわないか不安を抱く。


「諦めろ」

「父上…」

「その時になったら援助しよう」


「止めてください」



恐怖しかない。
最強の二人がタッグを組み国を作り、新たな政治を作り出した時男はどうなるか。


(ああ…不安だ)


国王の不安を他所にフェリス侯爵夫人は手紙を見て愉快そうにする。


その手紙にはフリーシアの処遇が細かく書き記されており、先王はじっと手紙を見ていた。


「気になりますか?」

「うっ…うむ」


どんなシナリオかは聞かされていたが、あくまでシナリオだ。
事の詳細は聞かされていないので聞きたがったのを察したのだった。


「少し長くなりますので甘いお菓子が必要です」

「そうじゃな」

「かまわぬ。聞かせてくれまいか」


使用人を呼び甘いお菓子と甘い飲み物を用意させ、語られた。


しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います

菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。 その隣には見知らぬ女性が立っていた。 二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。 両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。 メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。 数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。 彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。 ※ハッピーエンド&純愛 他サイトでも掲載しております。

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

婚約者の不倫相手は妹で?

岡暁舟
恋愛
 公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

ここはあなたの家ではありません

風見ゆうみ
恋愛
「明日からミノスラード伯爵邸に住んでくれ」 婚約者にそう言われ、ミノスラード伯爵邸に行ってみたはいいものの、婚約者のケサス様は弟のランドリュー様に家督を譲渡し、子爵家の令嬢と駆け落ちしていた。 わたくしを家に呼んだのは、捨てられた令嬢として惨めな思いをさせるためだった。 実家から追い出されていたわたくしは、ランドリュー様の婚約者としてミノスラード伯爵邸で暮らし始める。 そんなある日、駆け落ちした令嬢と破局したケサス様から家に戻りたいと連絡があり―― そんな人を家に入れてあげる必要はないわよね? ※誤字脱字など見直しているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

処理中です...