君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

126空っぽ

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すべては偽りだった。
グレーテルがカーサを愛しているなんて大きな勘違いだった。


目の前でハッキリ言われてもカーサは受け入れることはできない。
受けれいたくなかったのだ。



「そんなはず…」

「逆に聞きます。ご自分の立場で考えてください。もし貴方が私と同じ立場で固いだけの夫にしてやるから私の為に永遠に下僕として生き、家の財産はすべてよこせと言われて愛せますの?」

「馬鹿を言うな!そんな…」

「長年貴方がしてきたことです。私はずっと貴方の都合の良い奴隷以下だった…一度でも愛したことも人間として尊敬したこともありません」


情を抱いたことはあった。
だけどその情も一瞬で消える程に傷つけられてきた。


「私は貴方にとって金づるで無償で働く家政婦。そして少しでも歯向かえば排除する…私は貴方の道具ではありませんわ」

「何を言っているんだ。君は俺を愛しているんだ。愛しているからこそ願いをかなえるのは当然だ。そうだ、奴隷だろうと家政婦だろうと俺が妻にしてやると言ったんだから当然だろう」

「本当に最低な男。貴方に嫁ぐ女性はこの先現れないわ。こんな最低最悪な男願い下げだもの」


「貴様!調子に乗るのもいいかげ…うっ!」


くらりとふらつくカーサは床に倒れた。


「お酒自体も体に相当有害だったのね」

「ぐっ…気持ち悪い。助け…」


手を伸ばし助けを求めるもグレーテルは冷ややかに笑う。


「安心なさい。後十分で警備隊と騎士団がここに来ますわ」

「えっ…」

「医師も呼んでくださるでしょう。ただし治療は独房でですが」

「独房…」



それはつまり罪人として連行された後にずさんな治療を受けることになる。


「そんな…」

「この度の所業もしっかり償っていただきます」


情け容赦のないグレーテルにカーサは思った。


鬼だと。
こんな状態になっても顔色一つ変えないなんてありえない。


「貴様…鬼か」

「鬼の妻ですから」


隣国では鬼と恐れられているアスランの婚約者なので鬼の妻という表現はあながち間違いではない。



「我が国の女王様は鬼姫様と呼ばれておりますの。ですから私も鬼姫様お侍女らしく冷酷になりますわ」


氷のような微笑みを浮かべるグレーテルにお涙ちょうだいはもう意味がなかった。


そんな中、馬車が止まる音が聞こえた。


警備隊に騎士団が到着したのだった。

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