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第一章
119残党狩り
しおりを挟む貴族派の権力を完全に無くすためには彼らの罪を明らかにしなくてはならなかった。
おかしな話だがこの世の法律は平民には厳しく高位貴族にはあまりにも甘すぎた。
他人の命を奪っても罪を完全に立証することはできない。
裁判をしても、証言者は発言をコロコロ変える可能性が少なくない。
確実な方法は物証。
物が必要だった。
その為にも貴族の残党が罪を犯した物証を見つける必要があった。
作戦決行前の日。
「現在、把握されている隠れ家はこことここです」
グレーテルは真夜中、作戦会議を行っていた。
その場にはアクアシア王国から同行させてきた侍女が複数いた。
彼女達は女性騎士であり、監察という仕事を担っていた。
アクアシア王国王妃陛下直属の部下で、不正を暴く仕事を主にしている。
ただし他国にも本国にもその正体は秘密だった。
彼女達に制圧させる役目を任せていたのだ。
「グレーテルよ。そなたに無礼を働いた小娘を野放しにした理由はこのためじゃな」
「はい。シャトル公爵の元で甘いするを吸い尽くしている者は多いでしょう。そんな彼らが隠れ蓑に使うのはむしろ錆びれた酒場でしょう」
「錆びれた酒場?」
「はいギャングなども昔は使っていたそうですが…昔そういった店に迷い込んだことがありました」
「その件については後で聞くとしよう」
一瞬だけアスランが目を光らせたが聞かなかったことにした。
「あの馬鹿令嬢の父親は監視している。調べたがやりたい放題だ。表向きは控えめな良き領主を演じているが…使用人も口が軽い」
「アスラン、何をしたんですか」
「少し酒を飲ませて割らせただけで自白剤は使っていない」
だが、アスランが酒を飲ませて終わりなんて生ぬるい事をするはずがない。
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「汚物は早い段階に取り除く必要があります。その為にもシャトル公爵の勢力は確実に潰すためにも彼らには大人しくお縄についていただきます」
「同感だ…しかしどうするのだ」
「隠れ蓑を見つけ現場を押さえてください。彼らが麻薬を隠し持っている噂は耳にしています。ですのでその隠れ蓑で物証が見つかればよいのです…他にも悪徳商人がその場にいれば」
「その場で捕縛するということか」
「ですがタイミングが大事です。確実な方法でお願いします」
その現場で貴族達が違法的な薬物を持っているのを確認してからと念押しをしたのだった。
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