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第一章

117作戦勝ち

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「良くやった」

乾杯をしながら早めのお祝いをした。
お酒ではなくジュースで乾杯しながらあの場での事を報告したが、実は茶番劇だった。


「中々の演技だったな」

「ありがとうございます。アスランがちゃんと演技をしてくださるか心配だったのですが」

「あの程度どうさもない」

前世では24時間365日表情が変わらなかった。
それぐらい無愛想だと言われていたので演技ができるか心配だったがよく考えれば平民で王の側近になれるのだからある程度の演技はできて当然だった。


「あの場には貴族派、あのクソ親父の手の者が多いからな」

「グレーテルを糾弾するのは解っていましたが、馬鹿がいてくれて助かりました」

「あの頭の悪い女は何所の者です」


「シャトレ公爵家の親族です。性格が問題で婚約を断られたのです」

「それは…」


「全財産を投げうって、平民となっても婚約は嫌だと申されたそうです」

「あー…」

少しばかり同情をする。
貴族の結婚に葉利益のみという考えが多いのにすべての地位を失っても嫌だということは死んでも嫌だと言うことだ。

そこまで拒絶されればプライドはズタズタだ。


「しかも婚約破棄したその一年後田舎の村で平民の少女と恋に落ちて結婚後一年後に子をもうけたとか」

「もう何も言えませんな」

アスランも同情をせざる得なかった。


「このまま婚約者が見つかなかったらあの令嬢は高齢の成金に嫁がされるそうですわ。だから必死なのでしょうけど…故にグレーテルが気に入らなかったのでしょうね」

「なるほど」

「ちなみに公爵も純潔至上主義ですから」


混血を許さない主義だと言われるが貴族の半分が平民の血を持っている。
先祖をたどればすべて貴族ではないのに矛盾した考えだった。


「これで痛手を受けたでしょうが…まだ甘いわ」

「はい。問題のあの男が残っています。シオン」

「はい、お嬢様」



グレーテルは視線を送り、箱を持ってこさせる。


「これは何?」

「随分と趣味の悪い手紙じゃ」

「見るのもおぞましい手紙です」



グレーテルは見るのも嫌なので箱にしまっていた。


「あの男か」

「はい、昨日と今朝届きました。もうこれは嫌がらせです」


手袋をしたままアスランは手紙を手に取ると汚い字で書かれていた。



「あの男か」

「はい、気色悪い内容です」


本人なりに愛を綴っているようだが、グレーテルからしたら気持ち悪い手紙だった。

「燃やしたいのですが証拠品として弁護士に提出した方が良いかと」

「そうだな」


シャトレ公爵と並行してカーサを早急に何とかする必要があった。


…というかいい加減付きまとわれるのが耐えられなかったのでこの度集まったのは次なる計画の為だった。


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