128 / 156
第一章
117作戦勝ち
しおりを挟む「良くやった」
乾杯をしながら早めのお祝いをした。
お酒ではなくジュースで乾杯しながらあの場での事を報告したが、実は茶番劇だった。
「中々の演技だったな」
「ありがとうございます。アスランがちゃんと演技をしてくださるか心配だったのですが」
「あの程度どうさもない」
前世では24時間365日表情が変わらなかった。
それぐらい無愛想だと言われていたので演技ができるか心配だったがよく考えれば平民で王の側近になれるのだからある程度の演技はできて当然だった。
「あの場には貴族派、あのクソ親父の手の者が多いからな」
「グレーテルを糾弾するのは解っていましたが、馬鹿がいてくれて助かりました」
「あの頭の悪い女は何所の者です」
「シャトレ公爵家の親族です。性格が問題で婚約を断られたのです」
「それは…」
「全財産を投げうって、平民となっても婚約は嫌だと申されたそうです」
「あー…」
少しばかり同情をする。
貴族の結婚に葉利益のみという考えが多いのにすべての地位を失っても嫌だということは死んでも嫌だと言うことだ。
そこまで拒絶されればプライドはズタズタだ。
「しかも婚約破棄したその一年後田舎の村で平民の少女と恋に落ちて結婚後一年後に子をもうけたとか」
「もう何も言えませんな」
アスランも同情をせざる得なかった。
「このまま婚約者が見つかなかったらあの令嬢は高齢の成金に嫁がされるそうですわ。だから必死なのでしょうけど…故にグレーテルが気に入らなかったのでしょうね」
「なるほど」
「ちなみに公爵も純潔至上主義ですから」
混血を許さない主義だと言われるが貴族の半分が平民の血を持っている。
先祖をたどればすべて貴族ではないのに矛盾した考えだった。
「これで痛手を受けたでしょうが…まだ甘いわ」
「はい。問題のあの男が残っています。シオン」
「はい、お嬢様」
グレーテルは視線を送り、箱を持ってこさせる。
「これは何?」
「随分と趣味の悪い手紙じゃ」
「見るのもおぞましい手紙です」
グレーテルは見るのも嫌なので箱にしまっていた。
「あの男か」
「はい、昨日と今朝届きました。もうこれは嫌がらせです」
手袋をしたままアスランは手紙を手に取ると汚い字で書かれていた。
「あの男か」
「はい、気色悪い内容です」
本人なりに愛を綴っているようだが、グレーテルからしたら気持ち悪い手紙だった。
「燃やしたいのですが証拠品として弁護士に提出した方が良いかと」
「そうだな」
シャトレ公爵と並行してカーサを早急に何とかする必要があった。
…というかいい加減付きまとわれるのが耐えられなかったのでこの度集まったのは次なる計画の為だった。
940
お気に入りに追加
4,092
あなたにおすすめの小説

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話


妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません
編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。
最後に取ったのは婚約者でした。
ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。

ここはあなたの家ではありません
風見ゆうみ
恋愛
「明日からミノスラード伯爵邸に住んでくれ」
婚約者にそう言われ、ミノスラード伯爵邸に行ってみたはいいものの、婚約者のケサス様は弟のランドリュー様に家督を譲渡し、子爵家の令嬢と駆け落ちしていた。
わたくしを家に呼んだのは、捨てられた令嬢として惨めな思いをさせるためだった。
実家から追い出されていたわたくしは、ランドリュー様の婚約者としてミノスラード伯爵邸で暮らし始める。
そんなある日、駆け落ちした令嬢と破局したケサス様から家に戻りたいと連絡があり――
そんな人を家に入れてあげる必要はないわよね?
※誤字脱字など見直しているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる