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第一章
108正反対の立場
しおりを挟むアクアシア王国の同盟国となったことは王都でも大騒ぎになっていた。
悪い意味ではなくいい意味でだ。
日に日に物価は値上がりして悪徳商人が消耗品を高値で売買するようになって平民は暮らしていくことが難しくなった。
だが、新聞でも発表されたように来年から女性の雇用を増やすこと。
そして騎士の家族にも特別手当を支給する等と発表されたので、騎士の妻達は心から喜んだ。
一部では氷の女王と恐れられているアクアシア王国の王妃だが、女性ながらにして相当なやり手である噂があるのだ。
今後は暮らしももっと楽になると思うとあと少しの辛抱だと思った。
「アクアシア王国の同盟万歳だね」
「ああ、これもグレーテル様がアクアシア王国とのパイプ役を果たしてくださったおかげだね」
「本当に何所の馬鹿だい。あんな言い方を捨てた元婚約者は」
「相当な馬鹿だよ」
今回の同盟の功労者であるグレーテル・クロレスの名前は新聞にも出されていた。
同盟が叶ったのは、この国の元貴族の令嬢で、王太子殿下の側近と婚約したことで勅使として一時帰国したと聞かされていた。
何でも元はこの国の貴族の子息と婚約をしていたが破談となり国を出た後にアクアシア王国の王妃陛下に見初められ傍付きの侍女に迎えられた後に王太子殿下の一番の側近の妻に望まれたとのことだ。
「製酪結婚だっていうけどね…聞いたかい?」
「ああ、お忍びで二人でデートしていたそうだよ」
「あれは殿方の方が相当溺愛しているね」
「ああ!やっぱり女は愛されてこそだね!」
貴族の間では恋愛結婚はありえない。
だが平民では恋愛結婚が当たり前となっているが、未だに女性の地位が引くので、しっかりエスコートされるのは憧れだった。
「これで、私達の生活も少しはマシになるだろうね」
「ああ、いい気味だね?貴族の大半もアクアシア王国の王妃陛下が粛正を命じられたっていうじゃないか」
「これで少しは…ね?」
ようやく新しい時代が来ると希望を夢見ている女性がいる中。
「グレーテルが、アクアシア王国の勅使だと!ありえない」
「何であの無能なモリアルが隣国の外交官なのよ!」
「どういうことだ!」
王都内にある貧民街と呼ばれる貧しい街に追いやられたカーサ達は新聞を握りしめていた。
立場がここまで変わってしまった事にショックを受けていたのだ。
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