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第一章
104援助の条件
しおりを挟むアクアシア王国側は援助の条件に法律の見直しを要求した。
その理由は、一部の民が税を納めていなかったり、国が援助している教会や孤児院にちゃんとお金や物資が届いていないのだ。
特に王都から離れた地方の孤児院、教会では最近病で亡くなる子供が続出している。
その病の詳細が残っておらず、尚且つ孤児院の責任者はふくよかだった。
貧しいとは言えないことを想定した。
「ジュノ王妃、お待ちください。いくら何でもいきなり予算の出所を明らかに等」
「そうです。そんなことを」
「ほぉ?見せられた予算には不明な金があるが…」
「そちらは…二十年前のものでして帳簿は処分して」
「おかしいことよ。通常は帳簿を処分する等おかしきこと…やましい事でもあるのか?当時の会計士を呼べ。それから例の孤児院で病死したと言われる子供だが…当時の医師を呼び妾に説明せよ」
「そう申されましても」
「ほぉ?やましいな。本当に…」
「ひぃ!」
言葉だけで威圧し、動けなくする。
「馬鹿な連中だ」
「王妃陛下、相当お怒りだわ」
彼らは知らなかった。
世間では冷たい氷のような女。
氷の女王とも呼ばれており民の事など考えていない。
そう噂する者が多いが、本当は真逆だった。
無駄な贅沢はせず、散財をする際も必要だからする。
国を潤す為に私財を使い散財しているよう見見せるなど、横領や脱税を一番嫌うのだ。
「そなたたちは勘違いをしておる。税金は国民の労働じゃ…その使い道を公にせぬとは許されぬ」
「ですが…」
「それとも不正をしてますとでもいう気か」
「そんな!」
やましい気持ちがないなら見せろと食い込んでいく。
できないならば不正をしているのかと言われてしまい、言い返すことはできない。
「しかし、このような事は国王陛下同士…」
「ほぉ?妾が女故に軽んじておるのか?我が国では女でも政治に口出しができる。その権限と地位があればな?」
「なっ!」
これにはさすがに驚かずにはいられなかった。
今だに男尊女卑が激しい世なので女性が政治に口だすなど論外だったのだが…
「カステア王国は女性が学ぶ場がない。故に妾はこの国を女性の学ぶ場を設ける予定じゃ」
「なんですって!」
「何を驚く?傾いた国を潤すには女性の地位を向上させ女性がもっと外に出て働くべきじゃ。侍女や女官の数も増やす」
「そんなことをすれば今いる官僚は…」
「無能な官僚は不要じゃ」
遠回しに座っているだけの給料泥棒は解雇にすべきだと言っているようなものだった。
こうして反発を生みながらもほとんど脅す形で新たな改革は始動した。
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