君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

103忍び寄る闇

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アクアシア王国の従国となる事が正式に発表された後に反発心は多かったが、傾きかけた国は大国の援助を受けないで存続はできないと理解している者は多かった。


しかも大国アクアシア王国は歴史が長く戦争を構える国は少ない。



…が中には面白く思わない者がいた。


「何が同盟だ。何がアクアシア王国同盟だ!」


一人酒を飲みながらいらだつ男。
貴族派の筆頭であるこの男は今回の同盟を良く思っていなかった。


王の失脚を狙っていたのに、予測外の出来事が起きたのだ。

「あの女がまさか加護持ちだったとは」


現国王のいとこにあたるシャルト公爵。
先代国王の甥に当たるが、早々に王位継承権を剥奪されたのだ。


頭は切れるが、貴族至上主義で裏ではあくどい真似をしていたので先代国王から厳しい目で見られていた。


「あの男の娘、余計な真似を」


元々カーサとグレーテルの婚姻を陰で結びつけたのはこの男だった。



「忌々しい、クロレンス家が!」


シャトル公爵は身分至上主義の考えから元平民でありながら先代国王から寵愛を受け爵位を賜り、親しい関係にあるのを嫌悪していた。


「伯父上がおかしくなったのはあの一族の所為だ」


身分が低い人間を心から嫌悪しているシャトル公爵はモリアルの存在も良く思ってなかった。
爵位にも興味を示さず博愛主義な考えを偽善者だと決めつけ、腹の中で何を考えているか解らないと思った。


先代国王をだましているのだと決めつけ、わざとカーサのような男をあてがったのだ。


婚約破棄を聞いたときは愉快だった。
これで社交界の笑いものになると思ったが、すべてを捨て娘を探すべく国を出て行ってしまった。


これこそ予測外だった。
だが、国を出れば生きていけないと思ったが痛手を受けたのは他の者達だった。


モリアルの人柄にほれ込んだ商人は多く、彼がいないなら手を切ると言う者。
その手を切った商人の中にはシャトル家と深い繋がりの者もいたのだ。


次に、カーサが思いのほか使えない男だった。
同時にグレーテルがどれだけ優秀だったか思い知ったのだ。


「このままにしておけるか…なんとしてもあの娘を利用してのし上がらなくては」


このまま他国に嫁ぎ幸せになるなんて許せない。
加護持ちのグレーテルを使って国を乗っ取れないかと考えていた。


「閣下、カーサ殿がお越しになられました」

「来たか。通せ」

「はい」


野心を抱く男は部屋に飾られている花を握りつぶし不敵に微笑んだ。


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