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第一章
100裸の王様
しおりを挟む女傑と言っても過言ではない二人。
ある意味この二人を怒らせては国は沈むのではないかと言われている。
片方はアクアシア王国の現王妃であり、政治にも口出しできる権利を有している唯一の女性。
国王ですら礼を尽くしている最強の女王とも呼ばれている。
もう一人は先代国王からの信頼と、影とよばれる諜報部隊を指揮することができる最強の女。
そう、この二人はとても恐ろしいのだ。
「こっ…この度は遠路はるばるお越しいただき…」
現在情けない王が震えていた。
王冠も王の象徴である指輪も意味がない。
「突然の訪問をお許しいただけて嬉しいですわ」
「はっ…」
「しかし、我が国ではレディーファーストなので、粗相をしてしまうかもしれません。お許しくださいますか」
「そっ…そのようなこと」
遠回しにこの国は女性に厳しいと強く追及している。
「今どき男尊女卑は時代錯誤とかんがえておりましたが、未だに女を従順な生き物にしたがる男が多いと聞きます。嘆かわしい事です」
「それは…私も同感です」
「さようですか。では我が国と誓約書を交わす際はきっちり認識してくださいますね?」
強調するように言った王妃に国王はだらだらと汗を流す。
「我が国では不当な理由で不倫、婚約中の不義は重罪でして…まぁ、未だに女側を責める馬鹿が多いのです。ですから今後はもっと厳しく法律を見直そうとお考えております」
アクアシア王国では王家が取り決めた婚約を国王の許可なく婚約破棄をすることは許されない。
正当な理由がない以上は処罰される。
「以前にも縁談の話が持ち上がったのですが…先方が一方的に破断だと言われまして。まぁ、正式な婚約を結んでいなかったのですが…我が夫の一番のお気に入りの側近を侮辱したのです」
「はっ…はい」
「そのご令嬢は伯爵令嬢ということを余程誇りに思っていたようで…この国では貴族至上主義を貫いているのでしょうか?国王の側近を平民という理由で侮辱するのか」
「滅相もございません」
「そうですか。ではそのご令嬢が勝手に申したということでよろしいですか」
「はっ…はい」
ぺこぺこする国王は本当に情けなかった。
「これでは裸の王様です」
「言うな」
陰でこっそりグレーテルが愚痴るが誰も聞いてはいなかった。
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