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第一章

98責任と義務

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港町では薬の不足に漁師特有の病が流行っていた。

壊血病と呼ばれる病だった。
船の上では愛用管理が難しく、この病で多くの船乗りが命を落とした。

今では海岸沿いに住まう者も病に苦しんでいた。


グレーテルはその病の解決策と、二度とこんなことになたないように操業ギルド、水軍ギルドに対策を伝えた。


「律儀よのぉ」

「今更です」

責任感が強いグレーテルに王妃はやれやれといった表情だった。
決してグレーテルの責任ではないのに心を砕く必要ないが、放っておけなかった。


「だが、自覚はないのか」

「ないでしょう。ギルドの連中にどう見られているか解ってないでしょう」

無償で薬を提供し、尚且つ病の解決法を教え、カーサ達の罪を訴えられるように働きかけたのだ。

通常対価を求めるのに、そんなそぶりもないので一部のギルドには感謝以上の目で見られてしまった。



「これで港から噂が慣れるであろうな」


「ええ、本人は気づかずにいるでしょう」



身分は明かすことをしないせいで余計に謙虚だった事で誤解を抱かせていた。



「何所の貴族様だろうか」

「いや、もしや他国の王族かもしれぬ」

「聖職者ではないか?」

「どちらにしてもありがたい。あの方は聖女だ」


勝手に感謝して、勝手に勘違いする彼らは後にグレーテルを聖女とあがめた。
ついでに無償で渡された薬のおかけで港町の人々は救われ、グレーテルに敬意を抱き大工ギルド達は感謝の意を表し、石像を作ったのだった。





「それで、ここで待ち合わせのはずじゃな」

「はい、フェリス侯爵夫人が迎えに来て…」


約束の時間よりも少し早かったのでまだ聞けていなのかと思ったが。


「「「あ…」」」


探す手間省けた。
何故ならその先に騎士団が控えていた。



「目立たないようにと頼んだんだがな」


「一応変装をしてくださっているのですが…ないですね」


そう、待ち構えている騎士達は女装していた。
見事なマッチョで女装をしているので三人はこのまま引き返したくなったが、視線の先にはフェリス侯爵夫人がいたのだ。



「グレーテル」


「奥様」


久しぶりの再会は本来なら喜ぶべきことなのに素直に喜べないでいたができるだけ表情に出さないように努めたのだった。

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