君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

96加護を失った国

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老人は気さくな男だった。
いきなり声をかけ横柄な態度の王妃に対しても気にすることはなかった。

その代わり王妃は酒を出しだしご機嫌を取るあたりは心得ているようだった。


「して話を」


「ああ、原因は解らねぇが。数か月前から食中が流行ったんだ」

「食中毒?」

「ああ、ある貴族様が新しい事業をと言い出して始めたんだが、その魚の料理が食中毒の原因だつたんだよ…後から聞いたが、有害な餌を食って育った魚だったんだ」

「漁師は知らなかったのか」

「ああ、魚の種類事態は有害のある魚じゃなかったからな」

何を食べているかなんてその場ですぐに解るはずもない。
ただ問題なのは料理にする時も十分に魚の調査を行わなかったのだ。


「ここいらの海では毒を持った魚は来ないはずだ…けれどここ最近は有害な魚も来るようになって。海の女神が怒っているんじゃないかって話も出回っている」


「誰じゃその事業を始めた馬鹿は。普通は念入りに調査した後に水軍ギルドにも協力を願うはずじゃ」

「水軍ギルドには許可を取らずに強引な真似をしたんだ」

真っ当な商売をするならばちゃんと商業ギルドの許可を取った後に水軍ギルドにも協力してもらうのだ。


安全を最優先して。


「馬鹿か、お前達は止めなかったのか」

「当初、若い連中は出払っていて…いや、それを狙った可能性もある」

「何所の馬鹿だ!本当に」


タイミングが良すぎる。
恐らくその貴族はかなりの世間知らずで商売の仕方もまるで解っていない。
恐らく悪徳商人がお膳立てをして、万一被害が出てもその貴族に責任を擦り付けるつもりだったと考えられる。


「王都の貴族様らしい。無駄に偉そうで…フェルトだったか?」

「もしや…」

グレーテルは嫌な予感がした。
ハズレて欲しいと思ったのだが、その願いは叶わなかった。


「フェストだ!」


頭が痛い。
同時に眩暈がした気がした。


「グレーテル。あの男か」

「はい」

「何所までも迷惑な」


人様にどれだけ迷惑をかければ気が済むのかと思いながらも港町は隔離されていないことから食中毒は食い止められたと思ったが、その所為で港がさびれてしまったと言うならばカーサ達の罪は何所まで重いのか解らない。


「責任を追及したくても厄介な事に、貴族様は責任を漁師に押し付けて関係ないと逃げたってわけだ」


証拠不十分な事もあり、すべての責任を追及できず結局責任は漁師や料理人側にあると判断誰たと聞かされグレーテルは悔しくなった。




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