君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

86醜い親子

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ようやく状況に気づいた三人は真っ青な表情になる。
部屋に入ってから鉄の匂いがして、足が震えるのが止まらない。


ここがどいう場所かすぐにわかった。


「ようやく来たか」


「なっ…何故貴様が!」

国王の隣で椅子に腰かける人物を見て驚くカーサだったが。

「相変わらず口にきき方がなっておらぬな。育ちの悪さが見える。平民の幼児以下か」

「誰に向かって口を聞いている!このクソ爺…ぐぁ!」


「貴様!この方をどなたと思っている」


カーサは殴られ床に叩きつけられる。

「ぐっ…」

「何だと言うの!」

フェスト男爵夫人が尋ねる前に国王が呆れていた。

「まさか先代国王の顔も知らなかったというのか」

「「「は?」」」

あの時初めて会った時は質素な姿をしていたので仕方ないが、今は貴族の装いをしているので知らないなんてありえないのだ。


王家の紋章が刻まれたマントを身に着けているのに三人は気づかなかったのだから。


「我が国の先代国王であり、私の父によくもまぁ無礼な」

「先代国王…」

カーサは絶句した。
退位した後にも強い影響力を持ち長らく続く戦争を終結に導いた英雄王とも呼ばれている。


「誰がクソ爺かもう一度行ってくれぬか?耳が遠くてな?」

「ひぃ!」

「どうした?先ほどまでの潔さはどうした?初対面の時も随分な態度を取っていたであろう?」

杖で顎を持ち上げられびくびく怯える。

「さぁ、申してみよ」

「もっ…申し訳ありませ」

「何時から男爵家は王族に命令できるようになったのかのぉ?貴様らは神にでもなったつもりか?」

カーサは既に言葉もなかった。
背後で怯える二人も威圧感により怯え立つこともできなかったのだ。


「そこに二人、答えよ」

「申し訳ありません!ですが…」

「息子が勝手にしたことで…私達は」


あくまで自分達は関係なと言い出す二人にカーサは声を荒げる。

「酷いです!見捨てるんですか」

「黙れ!貴様が馬鹿な真似をしたからだ」

「そうよ。私達には関係ないわ」


人の親とも思えない発言だったが、この二人はわが身可愛さの為に息子を差し出す気だった。
あまりにも醜いやり取りに国王は呆れ先代国王は見るに堪えなかった。


「何所までも愚かな」

「返す言葉もありません」

先代国王は親ならば最後まで子を庇うか、責任を取ると言うべきだろう。
なのにこの二人は自分達が助かる為に逃げようとしているのだから余計に許せなかった。
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