君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

文字の大きさ
上 下
95 / 156
第一章

84ずれた考え

しおりを挟む



王宮から手紙が届いた。
当初三人は困惑気味だったが、王家の使者が至急王宮にと馬車まで用意されていることから火急であることはすぐに解った。


三人は顔を見合わせ、笑みを浮かべた。

そう、三人は勘違いをしていた。
王が直接会いたいと言うことは爵位を引き上げるのでは?

もしくは王族に連なる姫を娶って欲しい。
はたまた出世か?などと見当違いな事を考えていた。


「なんてことなのかしら」

「ああ、ようやく運が」

「本当に」

絶対にありえないのに三人はポジティブだった。
婚約破棄騒動から転落の数々だったが、すべて自分で蒔いた種だというのに他人には悲劇の主人公ぶっている。


正式にフリーシアと婚約破棄となった後にもフリーシアが一方的に悪いと噂を流しているのだ。
二度も婚約者に恵まれない自分は世界一不幸だと言っていたが周りは自業自得だろうと思っていることも気づかず、このタイミングで王家と縁を結ぶなんてまずいない。

ないのだが、王宮に呼ばれた事で舞い上がっていたのだ。


「すぐに準備を」

「解りました。急いで着替えないと」

「そうだ、急いで仕立て屋を」

「ああ!」

手紙にも至急と書かれているにも関わらず今から仕立て屋を呼ぼうとするフェスト男爵夫人に王宮の使者達は眉を顰める。

「お急ぎください。そのままで結構ですから」

「何を言うの!ちゃんとした服装ではなくては」

「そうだ!馬鹿を言うな」

「まったくこれだから平民は」


そう言いながら五時間も待たされてしまった後に多忙は国王を待たせることになった。


「嘘だろ…」

「何所の世界に国王陛下を待たせる貴族がいるんだ」

「しかも男爵だぞ」


使者の二人はありえないと思いながらも何を言っても聞かないのでひとまず先に御者に一度王宮に帰り事情を説明することにした。


その三時間後に再度、馬車はフェスト家に戻って来たのだが。


三人の服装はごてごてに着飾った一昔前の成金の装いだった。


「いいのか」

「言うな。あの格好だけでも不敬罪だ。まさしく歩き罪だ」

「違いない」


使者の二人はヒソヒソは無しながら急いで馬車に乗り込んだのだが。
用意された馬車は二台、何故か一台はかなり古びて質素なもので。

「おいどういうことだ!」

「何故私達がこの馬車なの!」

「王命です」

「チッ!」

隠すことなく舌打ちをする彼らは仕方なく馬車に乗る。


乗った馬車が罪人専用だとも知らずに。


しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います

菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。 その隣には見知らぬ女性が立っていた。 二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。 両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。 メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。 数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。 彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。 ※ハッピーエンド&純愛 他サイトでも掲載しております。

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

ここはあなたの家ではありません

風見ゆうみ
恋愛
「明日からミノスラード伯爵邸に住んでくれ」 婚約者にそう言われ、ミノスラード伯爵邸に行ってみたはいいものの、婚約者のケサス様は弟のランドリュー様に家督を譲渡し、子爵家の令嬢と駆け落ちしていた。 わたくしを家に呼んだのは、捨てられた令嬢として惨めな思いをさせるためだった。 実家から追い出されていたわたくしは、ランドリュー様の婚約者としてミノスラード伯爵邸で暮らし始める。 そんなある日、駆け落ちした令嬢と破局したケサス様から家に戻りたいと連絡があり―― そんな人を家に入れてあげる必要はないわよね? ※誤字脱字など見直しているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

処理中です...