君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

78疑い

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今までの環境を考えれば仕方ないなんて言って済ませてはならない。
グレーテルは過去を悔やみながらも今を考えた。


「今すぐには無理ですが努力いたします。自分を蔑ろにしないように」

「それでよい。まぁ、そうならないように私達がいる…そう、もっと早く気づかせるのは夫の役目なのだがな」

「まだ婚約者ですよ」

「ハッ、既に契っているだろう」


グレーテルは呆けた表情をする。


「何だ?もしやまだ契っていないのか」

「えっと…」


「ありえん!一つ屋根の下で寝所は同じであるのにあの馬鹿は手を出しておらぬとは」

「アンタ一応王子殿下の守役だろ!慎みを持て!」

既に敬語ではなかった。
言葉も砕けていたがそれ程テンパっていたコロネはすぐにでもユズリハを止めなくてはと思った矢先だ。


この場にもう一人現れる。


「グレーテル、ここにいたのか」


「あれ?ユズリハ?」

今日の勉強を終えたルクシアと共に現れたアスランだったが…


「アスラン!お前は不能だったのか!」

「え…」

「なっ!姉上!」


隣にいたルクシアが固まる。
幼いがある程度の性教育を受けているので不能の意味を理解している。


「不能って…アスランが?」

「違います!誤解です」

「でも、思えば…女の人一緒にいるのグレーテル以外いなかったって」

「それは…」

「前々から同性愛者かと思ってましたが…まさか不能だったとは!」

頭を抱えて悲鳴を上げるユズリハにアスランは本気で殺意が芽生える。

「だから違うと言っている!この馬鹿姉が!」

「姉に向かってなんだ!」

「ならばもっと慎みを思ってください!だから独身のままなんです!結婚できないんです」

「私はできないんじゃない。しないんだ」


そして姉弟喧嘩となった。
こうなっては先ほどの空気はぶち壊された。



「お二人共、今はどうでもいいことですぞ」

「「よくない!」」


コロネが止めようとするも二人の言い合いは止まらない。


そんな中ルクシアはボソッと言う。


「母上に報告しないと」


「えっ…」


「そうだ。母上になんとかしてもらおう。父上にも話して」

「おっ…お待ちください!」


純粋な心配からだった。
これが悪意のこもったものだったならまだ対処があるが、その逆ならば厄介だ。


「母上に言ってくる!」

「お待ちください!なりませんぞ!」


止めに入るも遅くルクシアはそのまま庭園に走っていく。


庭園の噴水近くには数名の侍女を従え国王もいたのだ。


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