77 / 156
第一章
66失った信頼の末
しおりを挟むどの国にも二つの貴族は価値観の違いからいがみ合いが続いた。
すべてとは言わないが、双方に考え方が違う。
領地持ちの貴族は基本領地を守ることを第一と考え、領民を飢えさせないことを重点を置く。
中にはそうでない者もいる。
だが大半は領地と領民を守る為に、忙しい最中、王都に出向き情報を入手して社交場に手人脈を作る。
すべては領地を守るべく。
その一方で宮廷貴族達は領地持ちの貴族程の責任がないので自由がある。
お金に関しても自身の為に惜しみなく使う貴族は多い。
中には自分の立場を理解している宮廷貴族は領地持ちの貴族と良い関係を結んでいる。
だが、宮廷貴族の大半は貧しく質素に暮らしている領地持ちの貴族を馬鹿にしていた。
貧しいのは己の未熟さ。
資金を確保できないのは愚か。
しかしその苦労を本当の意味で知らな~言える言葉だ。
現在王都の宮廷貴族達は危機的状況に陥っていたのだった。
「どうかお願いします!どうか!」
「最近は塩、砂糖も高騰しいて…貴女様の領地の食料を都合してください!」
現在社交場では立場が逆転していた。
これまで質素倹約を重きを置いている領地持ちの貴族を馬鹿にしていた宮廷貴族は物価の値上がり、原因不明の流行り病に、食料の入手の困難により困り果てていた。
領地持ちの貴族達も食料に困ってはいるものの、一部では食料を確保している貴族もいる。
その大半が辺境貴族で王都から離れている貴族が多かった。
彼らは辺境地生まれ故に、震災や戦争時の時には矢面に立たされる。
特に海岸沿いの領地は戦争になったら敵国が真っ先に攻めて来るので備えを心掛けていた。
そのおかげでなんとか生活はできている。
ただし、その備えの為に常日ごろの生活は質素だった。
その暮らしぶりを臆病だと馬鹿にしていたこの男は、しっぺ返しを食らっていた。
「しつこいですわよ!」
「そんな…貴女とは十年近くのお付き合いではありませんか」
「正確にはモリアル様ですわ。貴方とは一切ありません」
現在カーサは生活もままならない状態で、以前から付き合いのある商人貴族に助けを求めていた。
東の女商人と呼ばれる人物で、十年以上の取引をしている相手だ。
ただし、度重なる事業の失敗により関係を断ち切られたのだ。
「私はこれまで貴方に援助して来たのは何故と思ってまして?」
「それは私に期待をして…」
「ハッ、何所までもおめでたい方。商人は基本利益がなくては相手にしませんわ。黄金の女神がいたらからですわ。グレーテル様は黄金を生み出せる令嬢…その方がいないのなら解るでしょう?」
「そんな…」
「第一。僅か一か月で事業を傾かせ借金地獄になるなんてどんなお金の使い方をしましたの?赤字男!」
「無礼な!商人貴族の分際で!」
「ごめんなさい?貴方と名前だけの貴族ではなくて」
カーサは失言をしてしまったと気づいたときは遅かった。
216
お気に入りに追加
4,121
あなたにおすすめの小説
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
こういうの「ざまぁ」って言うんですよね? ~婚約破棄されたら美人になりました~
茅野ガク
恋愛
家のために宝石商の息子と婚約をした伯爵令嬢シスカ。彼女は婚約者の長年の暴言で自分に自信が持てなくなっていた。
更には婚約者の裏切りにより、大勢の前で婚約破棄を告げられてしまう。
シスカが屈辱に耐えていると、宮廷医師ウィルドがその場からシスカを救ってくれた。
初対面のはずの彼はシスカにある提案をして――
人に素顔を見せることが怖くなっていたシスカが、ウィルドと共に自信と笑顔を取り戻していくお話です。
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
婚約者と義妹に裏切られたので、ざまぁして逃げてみた
せいめ
恋愛
伯爵令嬢のフローラは、夜会で婚約者のレイモンドと義妹のリリアンが抱き合う姿を見てしまった。
大好きだったレイモンドの裏切りを知りショックを受けるフローラ。
三ヶ月後には結婚式なのに、このままあの方と結婚していいの?
深く傷付いたフローラは散々悩んだ挙句、その場に偶然居合わせた公爵令息や親友の力を借り、ざまぁして逃げ出すことにしたのであった。
ご都合主義です。
誤字脱字、申し訳ありません。
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
【本編完結済み】二人は常に手を繋ぐ
ハチ助
恋愛
【あらすじ】6歳になると受けさせられる魔力測定で、微弱の初級魔法しか使えないと判定された子爵令嬢のロナリアは、魔法学園に入学出来ない事で落胆していた。すると母レナリアが気分転換にと、自分の親友宅へとロナリアを連れ出す。そこで出会った同年齢の伯爵家三男リュカスも魔法が使えないという判定を受け、酷く落ち込んでいた。そんな似た境遇の二人はお互いを慰め合っていると、ひょんなことからロナリアと接している時だけ、リュカスが上級魔法限定で使える事が分かり、二人は翌年7歳になると一緒に王立魔法学園に通える事となる。この物語は、そんな二人が手を繋ぎながら成長していくお話。
※魔法設定有りですが、対人で使用する展開はございません。ですが魔獣にぶっ放してる時があります。
★本編は16話完結済み★
番外編は今後も更新を追加する可能性が高いですが、2024年2月現在は切りの良いところまで書きあげている為、作品を一度完結処理しております。
※尚『小説家になろう』でも投稿している作品になります。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる