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第一章

66失った信頼の末

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どの国にも二つの貴族は価値観の違いからいがみ合いが続いた。
すべてとは言わないが、双方に考え方が違う。


領地持ちの貴族は基本領地を守ることを第一と考え、領民を飢えさせないことを重点を置く。
中にはそうでない者もいる。

だが大半は領地と領民を守る為に、忙しい最中、王都に出向き情報を入手して社交場に手人脈を作る。

すべては領地を守るべく。
その一方で宮廷貴族達は領地持ちの貴族程の責任がないので自由がある。

お金に関しても自身の為に惜しみなく使う貴族は多い。
中には自分の立場を理解している宮廷貴族は領地持ちの貴族と良い関係を結んでいる。

だが、宮廷貴族の大半は貧しく質素に暮らしている領地持ちの貴族を馬鹿にしていた。
貧しいのは己の未熟さ。

資金を確保できないのは愚か。


しかしその苦労を本当の意味で知らな~言える言葉だ。
現在王都の宮廷貴族達は危機的状況に陥っていたのだった。


「どうかお願いします!どうか!」

「最近は塩、砂糖も高騰しいて…貴女様の領地の食料を都合してください!」


現在社交場では立場が逆転していた。
これまで質素倹約を重きを置いている領地持ちの貴族を馬鹿にしていた宮廷貴族は物価の値上がり、原因不明の流行り病に、食料の入手の困難により困り果てていた。


領地持ちの貴族達も食料に困ってはいるものの、一部では食料を確保している貴族もいる。
その大半が辺境貴族で王都から離れている貴族が多かった。

彼らは辺境地生まれ故に、震災や戦争時の時には矢面に立たされる。
特に海岸沿いの領地は戦争になったら敵国が真っ先に攻めて来るので備えを心掛けていた。


そのおかげでなんとか生活はできている。
ただし、その備えの為に常日ごろの生活は質素だった。

その暮らしぶりを臆病だと馬鹿にしていたこの男は、しっぺ返しを食らっていた。


「しつこいですわよ!」

「そんな…貴女とは十年近くのお付き合いではありませんか」

「正確にはモリアル様ですわ。貴方とは一切ありません」


現在カーサは生活もままならない状態で、以前から付き合いのある商人貴族に助けを求めていた。
東の女商人と呼ばれる人物で、十年以上の取引をしている相手だ。

ただし、度重なる事業の失敗により関係を断ち切られたのだ。


「私はこれまで貴方に援助して来たのは何故と思ってまして?」

「それは私に期待をして…」

「ハッ、何所までもおめでたい方。商人は基本利益がなくては相手にしませんわ。黄金の女神がいたらからですわ。グレーテル様は黄金を生み出せる令嬢…その方がいないのなら解るでしょう?」

「そんな…」

「第一。僅か一か月で事業を傾かせ借金地獄になるなんてどんなお金の使い方をしましたの?赤字男!」

「無礼な!商人貴族の分際で!」

「ごめんなさい?貴方と名前だけの貴族ではなくて」


カーサは失言をしてしまったと気づいたときは遅かった。


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