君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

60再会

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柱から現れたのは消息不明の父、モリアルと侍女のシオンだった。


「お父様!シオン!」

「グレーテル!」

「お嬢様!」


思わず二人に抱き着くグレーテルは涙を流した。

「どうして…」

「王妃陛下より手紙をいただいてな。実は現在船で貿易をしておる」

「え?」

灯台下暗しとはよく言ったものだ。
まさか国内にいるとは思わなかったのだが。


「実に恐ろしい才能じゃ。諜報員に調べさせたが、船で国から国を移動して商売をしていたそうじゃ。旅をしながらならば足がつきにくいからのぉ…探すのに少し時間がかかった」


「お手数をおかけして申し訳ございませんジュノ姫…いえ、王妃陛下」

「お父様?」


まるで知り合いだったかのような口ぶりだ。


「お父様、王妃陛下とお知り合いだったのですか」

「昔我が領地に秘書にいらしたのだが…まぁ、その時は貴族のお嬢様としか聞かされていなかった」

「もう何も言えません」


とんでもない偶然だ。
しかし他国の姫君ならば身分を偽るのが当然だった。


「当初私は祖国で少し問題を起こしてな」

「ジュノ、そなたは…」

「それで私は父に頭を冷やせと言われたのじゃ。まぁついでに嫁入り前に修業を」

「花嫁修業と武者修業を間違えておりませぬか」

「本当に細かい事ばかりを言う男よ…まぁ、こうして無事再会をできたわけだが」


ちらりと視線を向ける王妃に苦笑するモリアル。


「グレーテル、良い縁に恵まれて良かった」

「ごめんなさいお父様。私は自分の事しか考えていなかった…お父様に」

「いや、いいんだよ。それに外に出て商売をしてみたかった」

「お嬢様ならば絶対に無事だと信じておりました」


あの時のグレーテルの判断はやり方は少し荒いが間違いではなかった。
下手に国内に留まっていればいろんな理由をつけてカーサやフェスト男爵家に搾取され続けているのは予想できた。


そうなればクロレンス領地にも被害を受けただろう。


「国に関しては打撃を受けておる。我が国にも援助を求めてきておるのだが…フェリス侯爵家が間に入っておるわ」


「あの…それは」

「まぁそれは表向きだ。実際に動いているのは先代国王だが」

(何故先代国王が…)


現国王が病に伏せているなら解るが、そんな話は聞いていない。
引退して田舎暮らしをしているはずなのに何故と思ったのだが、王妃があっさりと告げる。


「息子が馬鹿だからじゃ!」

「言葉を選ばぬか。本当の事を言うんじゃない」


明け透けな物言いをする王妃を窘める国王だがどっちもどっちだった。


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