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第一章
52国王と王妃
しおりを挟むアクアシア王国の現国王は変わった王だった。
王族でありながら柔軟な考えを持っていたのは先代国王に対する反面教師だった。
家柄血筋を重んじるあまり、王宮内はぎすぎすしており。
中でも幼少期に内乱が起きてたなぼた形式で王位を引き継ぐことになってしまった苦労人だ。
敵国の姫を妃に迎えたはいいが、派閥争いに苦しみながらも信頼できる側近と共に国を民を守るべく奮闘した。
しかし苦難は多く、第一子であるルクシアは幼くして片目を失う病により問題が生じたが、第一子が存命ならば立太子すべきは決まっているのに、見た目だけで判断する馬鹿な輩が噂を流し始めたのだ。
ただルクシアの傍には厳選した優秀な傍仕えを置いておいたのだ。
特に目をかけているのがアスランだった。
幼少期から武芸に秀でており、見初めたが。
かなりの生真面目さに頭を抱えたこともあったが、それを抜きにしてもルクシアの傍に置くにふさわしいと思っていた。
「陛下、ずいぶんと楽しそうですね」
「ああジュノ…」
夜も遅い時間、酒を飲みながら楽しそうにする国王は顔合わせの時の事を思い出す。
「実に愉快だ」
「グレーテルの事ですか」
「それもあるが、あのアスランが感情を露わにするとは…よほどのあの娘を好いていると見える」
「まだまだ若いようですね」
年相応差がないといわれるアスランだったが、グレーテルが関わると変わると解ったので国王はご満悦気味だ。
「父親の居所が解った。後は祖国の問題だ」
「隣国ですか…」
「少々調べたのだが、グレーテルの祖父は祖国の先代国王と交流があるようだ」
「え?」
元は平民にすぎない百姓と王族が関りを持つのは稀だ。
「隣国ではいま色々ごたついているようだな…特にグレーテルの元婚約者とアスランの元婚約者が恋仲だとか」
「何です。その繋がりは…」
「実に奇妙な接点だな…しかし神に感謝しなくてはな?」
かつてアスランの婚約者候補となった隣国の伯爵家。
「フリーシアとか言いましたか…あの馬鹿娘」
「ああ、隣国に嫁ぐ意味も解らず、私のお気に入りを侮辱した馬鹿な娘だ」
一度白紙となった縁談。
二度と関わることはないと思っていたのだが…
「エレフェスタ家から手紙が届いている」
「は?」
「あの話をもう一度考えたいと…随分馬鹿にされたものだ」
すべてがうまくいく前にまた一つ人反乱ありそうな予感がした瞬間だった。
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