君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

51顔合わせ

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翡翠宮とは比べ物にならない大きな王宮にて、緊張しながらグレーテルは頭を下げていた。

玉座に座る国王は三十過ぎと言われても解らない程若々しく美しい顔立ちだった。
傍に仕える側近がグレーテルをじっと見ている。


(品定めをされているのかしら…)


雲の上の存在の国王との謁見に緊張するなと言う方が無理だった。


「陛下、せめてとなりの側近をどうにかしてください」

「む?」

「王妃陛下、どういう意味ですか」


助け舟を出されるも側近二人は変わらずグレーテルを見るのだが、隣にいるアスランが怯えるグレーテルの手を握りながら側近に告げる。


「お二人共、グレーテルをさせるのはお止めください」


無表情であるが、グレーテルを守るように言い放つアスランに二人の側近はニヤニヤ笑う。


「ほぉ?堅物のお前がのぉ?」

「相当ほれ込んでいるのか」


別名狸親父。
特に堅物のアスランをからかうのが好きな二人は反応を見て楽しんでいた。


「止めぬか二人共…グレーテルと申したな」

「はい」

「そなたのことはルクシアから聞いておる。大義であった」

「もったいなきお言葉にございます」


国王としてではなく父親としての表情をしていた。

「侍女の一件に関しては、このようなことになっているとは気づかなかった。許せジュノ」

「陛下…」


侍女達が好き勝手噂をしていることを失念していたことを心から詫びながらも、二人のやり取りを見てグレーテルは思った。


政略結婚で結ばれながらも二人の間にはしっかり絆が結ばれていることが解った。


「体が弱かったルクシアの事を良く思わない者もいる…しかし第一王子であるルクシアが立太子することは覆すことはない」

「承知しております。アルシオは兄の補佐にと言い聞かせております」


二人はルクシアに対して強い愛情を持っていることを再確認出来て安堵する。
その一方で何故わざわざ謁見の間に呼ばれたのか、その意味を考えていたのだったが…


「ジュノから聞いたのだが、そなたは隣国、カメリス王国の貴族令嬢だったそうだな」

「はっ…はい」

「事情は王妃から聞いている。父親との連絡手段に関してだが…こちらに任せるがよい」

「えっ…」


未だに父親の行方が解らずに困っていたのだが、国王の言葉に驚く。


「父親に関しては、こちらで調べておく…まぁそう時間は必要ないだろう」

「私の部下に諜報員がおる故にな」

「ありがとうございます!」


二人の申し出に驚きながらも頭を下げる。


その一方で何故二人は自分を呼んだのかと思ったのだった。


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