君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

50謁見

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その日、アスランは国王に呼ばれた。


「お呼びでございますしょうか陛下」

「楽にせよ」

「ハッ」

傍にいる側近は元老院と呼ばれる者達だ。
身分は貴族ではなく元平民だったり商人だったり聖職者だったりと身分が低い者達だった。


国王の意向により絶対身分制度ではない。
実力があれば出世できるのだ。

現に元百姓でありながら現在は侯爵の地位を得ている側近もいるのだから。


「最近お前は侍女を傍においているそうだな」

「陛下…」

「良い、好いた娘か」

「はっ…はい」


幼少期に才能を見出されて以降、恩恵得て来たアスランは緊張した表情でありながらもはっきりと告げた。


「その娘を伴侶にと考えております」

「ほぉ?堅物であるお前がそこまでいうとは」

「私事でお恥ずかしながら」


才はあるが真面目過ぎるのが難点で融通が利かない。
忠誠心は誰よりもあるのに出世欲がまるでない。

国王はアスランをもっと出世させたくてそれなりの地位にいる貴族の令嬢との見合いを考えたこともあったが、先方が何かにつけてアスランの出自を侮辱したり、酷い時は見合いをすっぽかしされたこともあったのだ。

お気に入りの側近であるアスランを悪しざまに扱われてしまい考えを改めた国王だったが、既に心に決めた女性がいたとなれば話は別だ。


「その娘はどのような身分の者だ」

「隣国の元貴族令嬢です」

「元?」

「はい祖先は元百姓で戦時中の功績により爵位を得たと聞いております。ですが婚約者に搾取され理不尽な理由で王都から追いやられたと…自立心の強い娘です」

「なんだと!」

「国を出て、一人で生きていく覚悟をしたそうなのですが…その」

「もう良い。これ以上は言わずとも」

国王は優秀であるが、冷酷な人間ではない。
良い政治をするべく日々頭を抱えながらも国を、民を守るべく奔走していたのだから。


「しかし、貴族令嬢が国を出てとは…」


「随分とたくましい娘ですな」

側近の二人は関心をしていた。
貴族令嬢というくくりにするには随分と自立していると思った。


「早くに母を亡くし苦労してきているようで…国を出たのも奉公先の主や父親に迷惑をかけないためかと」

「ほぉ?骨のある娘のようだな…」


アスランはここで反対をされまいか、気が気でなかった。


「陛下、どうかお許しください」

「何だ?私は咎めようとして呼んだのではない。お前を骨抜きにする娘に興味を持っただけだ。一度ここへ連れてまいれ」

「えっ…」

嫌な予感がした。
にやにやと笑う国王にまた悪い癖が出たと思った。


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