君は優しいからと言われ浮気を正当化しておきながら今更復縁なんて認めません

ユウ

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第一章

35野菜の食卓

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子供が嫌いな食材はどの国も似ている。
ピーマン、ニンジン、シイタケとこの三つを嫌う傾向がある。


現にルクシアは苦みが強く匂いもキツイピーマンが苦手だ。
その次に嫌いなのがニンジンだ。


なのだが――。


「ニンジンが甘い」

本日の料理のスープにはニンジンが刻まれていたが苦みも独特の後味がない。

「このパスタも甘い」

「そちらはニンジンが練り込まれております」

「え?」

通常パスタは黄色に近い白だ。
グレーテルが作ったパスタはオレンジ色だったのだが、食べてみると甘さと後味にすっきりした酸味がある。


「スープも美味しい」

「野菜はスープに絶対必要なのです。良い出汁になります」


あれだけニンジンを毛嫌いしていたルクシアは進んで食べるようになる。

「この緑色の飲み物も美味しい」

「そちらピーマンを絞った野菜ジュースです」


「ブッ!」


飲んでいた野菜ジュースを吹き出す。


「お行儀が悪いですぞ」

アスランは急いで布巾でルクシアの周りを綺麗にするも本人は真っ青になる。


「生のまま沢山絞りました」

「ピーマン」

「食べられましたでしょう」

確かに美味しかった。
しかし嫌いなのは変わりなく、残念な気持ちになる。


「何を落ち込まれますか」

「ピーマン食べてしまった」

「良いではありませんか。男が好き嫌いをするなど情けない」

普段から好き嫌いをするなと教えているアスランからすれば落ち込む理由が解らない。


「アスラン様、人は誰しも苦手なものがあるのですよ」

「そんなもの解っている。私だって姉を克服していない」

「いえ、それは一生無理…」

その時だ。


窓から手が伸びて来た。


「むぐ!」

「誰が誰を克服するのだ?」

「姉上…」


王宮にいるはずのユズリハがニコニコと笑みを浮かべていた。


「で?何をどう克服するのか教えてもらいたいものだな」

「姉上…」

「さぁ、答えろ愚弟」


ボキボキと関節を鳴らしアスランの首を掴み身長の差があるにもかかわらず持ち上げられる。


「ひぃぃ!」

「殿下、見てはなりません」


悲鳴を上げるルクシアの目を手で塞ぎ見せまいとする。
まだ子供には刺激が強すぎると思ったのだ。


「さぁ答えぬか!」

「答える前に…首が…ぐっ!」

答えたくても首を絞められて答えることは不可能だった。


「グレーテル、何で目を隠すのだ?」

「ええ、もう少しご辛抱くださいませ」


理由は言えなかった。
まだ幼い子供には刺激が強すぎるし、大人びていてもルクシアはまだまだ純粋だ。

刺激の強いものをあまり見せたくなかった。


結局二人の恐ろしい姉弟喧嘩続いたのだった。



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