上 下
118 / 137

87女王陛下

しおりを挟む




干ばつの調査隊のリーダである女王陛下は国王というよりも貴族令嬢のようだった。

なんというか無邪気さを残す天然という言葉が似あう。


「セクシークイーン」

「リゼ」

「申し訳ありません」


美しく色香もあり、華やかだった。
一言で表現するなら物語で出て来る色気のある女王陛下だ。


武闘派であるミカエラ様と正反対だった。


「私達と毛色が違いすぎると思ってしまうわ」

「リゼ、それは一部だ」

「え?」

真っ青な表情をするレオは震えていた。

「叔母上は見た目こそああだが、我が国の王だ」

「あの方はある意味国王の資質をお持ちです。普段はああですが」

王の資質がなければ国は沈んでいるだろう。
それにこの国は問題点は多いだろうけど、平和だ。

それに女性に優しい国を作るのは本当に難しい。
私が言うのもなんだけど、祖国のあの騒動を把握することができなかった王妃陛下も女性を軽視する者が多いこともある。



「少し型破りだが、母上以上にカリスマ性がある。何より貴族社会で政略結婚絶対主義に異論を唱えた方だ」

「まぁ…」

「俺の婚姻に関しても、自由にしていいとおっしゃってくださったんだ」


頭の固い貴族ならまずありえない。


「叔母上自身が、愛を大事にする方だ。まぁ早くに夫と死別していることもあるが」

「そういえば、王配である方は公になってないわね」


「平民だからな」

「はい?」


「叔父上は平民で剣術だけが取り柄だった」

貴族ではなく平民で、しかも騎士と来た。
結婚するのは大変だったのではないだろうか?


「勿論周りは猛反対だ。この国の者ではないし、貴族でもないとくれば…だが叔母上も譲らなかった」

「どういったやり取りがされたのか気になるわ」

「我が国では古い伝統…というか決闘があるんだ」

「決闘…」

どの国も死闘はご法度だけど、国が認めた決闘方式はあると聞いたことがある。


「叔母はああ見えて体術に関しては母上よりも上だ。特に拷問を得意とする」

「えっ…」

あんなに細い腕を持ち、白くてすべすべの肌を持つあの方が?


「得意な武器は鞭だ」

「鞭!」

「若かりし頃は、弱いものを虐げる者を懲らしめる為に仮面をつけて鞭で…」



想像してしまった。


女王陛下が悪人に鞭でビシバシしながら高笑いする姿。


「女王様とお呼びとか言っていた」


「安易に想像できるわ」



清楚なだけの姫君に一国の王が務まるわけがない。


しおりを挟む
感想 518

あなたにおすすめの小説

毒家族から逃亡、のち側妃

チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」 十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。 まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。 夢は自分で叶えなきゃ。 ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

もう尽くして耐えるのは辞めます!!

月居 結深
恋愛
 国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。  婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。  こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?  小説家になろうの方でも公開しています。 2024/08/27  なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。

【完結】もう結構ですわ!

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
 どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。  愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!  ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/29……完結 2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位 2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位 2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位 2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位 2024/09/11……連載開始

悪妃の愛娘

りーさん
恋愛
 私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。  その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。  そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!  いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!  こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。  あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

【完結】私から奪っていく妹にさよならを

横居花琉
恋愛
妹のメラニーに物を奪われたジャスミン。 両親はメラニーを可愛がり、ジャスミンに我慢するように言った。 やがて婚約者ができたジャスミンだったが、メラニーは婚約者も奪った。

処理中です...