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71復学の後~サリオンside⑤

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朝の仕事を終えた後、既にへとへとだった。
何故僕がこんな下働きのような真似をしないといけないんだ。


「ちょっとそこの貴方、私の部屋の掃除をしておいて」

「は?」

横柄な態度で無礼な物言いをされてムッとする。

「私が声をかけてあげているのよ。返事なさい!」


すぐに返事をしない僕に苛立ったのかヒステリックに叫ぶ女にむかついた。
床を見るとさっき綺麗に拭き掃除をしたのに土足で歩き、泥だらけだった。


「食事前にショコラをだしなさい」

「自分で用意すればいいだろ」


「はぁ?何様よ!私を誰だと思っておるの!この私に…」


「知るか。キャンキャン叫ぶな。耳に響く…それから汚れた床はお前が掃除しろ」

「きゃああ!」

バケツの雑巾を投げたが間違えて顔に当たった。

まぁ問題ないだろう。


そのまま無視をして掃除道具を片付けようとしたが…


「待ちなさい!この私を誰だと思っているの!アグネス・ヴィッセルよ」

「は?頭がおかしいのか?お前のような貧相で貧乏くさい女が…」


「え?サリオン?」


頭に巻いている布を取ると、そこにいたのはアグネスだった。


ありえない…


あのアグネスか?


「何でサリオンが」

「アグネス…本当に君なのか?なんて姿を」


美しかったアグネスがこんな姿に。


「サリオン!貴女どういうつもりなの!」

「君こそどういつもりだ!」

「怒りたいのは私よ!貴方の所為で私がどんな思いをしたと思ってるの!お父様に怒られてこんな古臭い寮に入れられて、挙句に殿下は廃嫡になったのよ!」

「僕は実家から勘当され、侯爵家は僕を門前払いしたんだ!なんとかしてくれ!」



僕を恨むのはお門違いだ。
アグネスが侯爵様に頼んでくれれば家に戻るれるかもしれない。


「お父様からは学園で反省しろと言われて連絡もできないわ」

「だったら…」

「そもそも私がこんな汚い寮で辛い思いをしているのは貴方の所為なんだから!なんとかしてよ」

「なっ…」

「私の言うことが聞けなわけ!」


なんて高圧的な態度なんだ。

かつてはアグネスの我儘が可愛いと思って自分を殴ってやりたい。


「サリオンは私の言うことを聞いてればいいのよ!」


どうして僕はこんな性悪な女を可愛いと…愛しいと思ったんだ。


我儘で自己中で最低な女。


リーゼロッテは一度だって僕に我儘を言ったことはなかった。


なのに僕は――。


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