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68復学の後~サリオンside②
しおりを挟む「いいか、貴様は何が何でも学園を卒業しろ」
父上は僕を怒鳴りつけるだけで、心配なんてしていなかった。
あんまりじゃないか。
僕は何もかも失ったのにこんな…
「先ほどヴィッセル侯爵家から手紙が届いた」
「えっ…」
もしかしてアグネスが僕を恋しがっているのか?
それとも僕の事を心配した伯母上が!
「この度の一件は、すべてお前の責任だと。今後一切娘に近づくなとのことだ」
「は?何を…」
「お前はあちらからすれば娘をストーキングした最低最悪な男らしい」
「嘘だ!」
僕はアグネスの為に!
侯爵家はどうしてそんなことを言うんだ。
僕の事をあんなに可愛がってくれたじゃないか!
「アグネスは僕を必要と…」
「利用できるからな」
「利用?」
「自分の言うことを聞く犬が欲しかっただけだ。実際お前は犬以下だったがな。あの女はお前を愛してなどいない。ただ悲劇のヒロインごっこをしていただけだ」
父上の言葉に目の前が真っ暗になる。
幼い頃から僕はアグネスを守って来たつもりだ。
ずっと大切に。
婚約者よりも彼女を。
なのに何故?
僕を必要としているんじゃないのか?
「そんな…僕達は愛し合って」
「ハッ、愛など下らん。所詮は絵空事だ」
「父上!」
どうして父上はこうも愛を否定するんだ。
貴族の婚約は政略結婚が当たり前だけど愛情が芽生えることだってある。
「愛などと口にするな。お前はその愛の為に婚約者を利用し蔑ろにして最後は殺そうとしたではないか」
「あれは…」
僕はそんなつもりはなかった。
少しカッとなって衝動的にああなっただけだ。
「我を失い暴行を働いた時点で、邪魔だと思っていたはずだ」
「ちがっ…」
「違わないだろう。ではなぜ、何度も殴った?その後も謝罪にもいかなかった?必要がないからだ」
必要ない?
確かにそうだ。
リーゼロッテなら大丈夫だ。
大したことはない。
顔に傷が残っても僕は娶ってやるつもりでいた。
今後もアグネスを支える為にも必要だと思ったし、リーゼロッテも光栄だろうと思った。
僕と結婚した後も一生アグネスの為に生きれるんだから。
僕達の為に…
「お前は馬鹿か?」
「何を言うんです」
「頭がおかしいとしか思えん。どこの世界に浮気している相手の為に奴隷になるというんだ。お前はあの女とお前の為に犠牲になれ。光栄だろう?と言っているようなものだ…まぁ私も利用価値があるから婚約者に選んだが」
父上だって同じじゃないか。
それを何故僕だけが悪いような言い方をするんだ!
納得ができない!
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