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閑話 学園のその後④

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「馬鹿な連中だ」


学園長室に飾られる歴代の学園長の写真を見ながら新学園長こと、コバルト・チャイフスは告げた。


「貴方は何所までも甘く愚かで優しすぎた」

ここにはいない前任を思うとやるせない気持ちでいっぱいだった。

コバルトはかつてこの学園を卒業した生徒だった。
決して裕福ではなかったが、優秀で特待生でこの学園を卒業した。

前学園長を尊敬していた。
だからこそ今回の一件は許しがたいものだった。


「先生、貴方は優しすぎた。生徒を思うばかりに面倒事を押し付けられ、馬鹿な教師に屈辱的な扱いを受けた」


前学園長は以前から学園内が府内していることを嘆きなんとかしようと試みた。
だが、私欲に走る教師は時代遅れだと言う始末だった。

教師とは聖職者。
子供を教え導く存在訴えたが、賛同してくれる教師はほとんどいなくなった。


以前からリーゼロッテの待遇に胸を痛めるも、もう老いた自分では限界を感じていた。

故に今の時代を生き抜く若者に委ねようと考えた。


そこで選ばれたのがコバルトだった。
彼は学園を卒業した後に他国に留学し、教師として実績を積んだ後に多くの学校を立て直すことにすべてを捧げた。


現在の教育機関では子供を本当の意味で導けないと考えたからだ。
他国で活躍する元教え子に学園の状況を話して力を貸して欲しいと懇願したのだ。


当初は断ろうとしたが、追い込まれている恩師を見て考えを変えた。
既に限界まで踏ん張っていたのだ。

なのにこの期に及んで他の教員は責任を押し付け合うだけで、年老いた学園長を守ろうともしない。


これまでどれだけの恩恵を受けているかも知らずに。



「私は許さない…」



かつて、何もないコバルトを救ってくれたのは心優し恩師だった。



「優しい先生をあんなふうに追い詰めた馬鹿な貴族達。そして役目を放棄した名ばかりの教師そして私の恩人であるシャルロッテ様のご息女をズタズタにした侯爵家」



コバルトは指導者としての役目は果たす気でいるが、それだけだった。

慈悲なんて与えるつもりはない。
多くの罪を犯し、反省の色がないアグネスに慈悲なんて不要だと思っていた。

これからアグネスは自分の罪と向き合わなくてはならない。
孤独な中で多くの悪意を受けても、誰も手助けしてくれないだろう。

コバルトは学園長として最低限のことしかするつもりはない。


そこから腐るか、這い上がるかは本人次第だが手を差し伸べる気はなかったのだから。


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