上 下
86 / 96

閑話 学園のその後①

しおりを挟む




リーゼロッテが静かに国を出た後。
学園内は荒れに荒れていた。


これまで学園内では小さないざこざがあったが、それでも公に出なかった。
保護者からのクレーム、生徒からのクレーム等すべてをリーゼロッテ引き受けていたので教師達が保護者に嫌味をいわれることなかったのだが…


学園長が、生徒に警備責任を負わせて教師がノータッチなのは問題だと指摘した。
以前からも教師がもう少し生徒に寄り添うべきだと苦言を申していたが、補佐をはじめとする他の古株の教師達が生徒の自主性と、生徒同士の問題を生徒に解決させることは今後社交界で生きる為に必要だとごり押ししたのだったが、今回の事で深く反省した学園長は生徒に警備まで任せるべきでないこと。

そして学園内で派閥の影響が出いている事。
一人の生徒を犠牲にして悪意を向けさせることなどを指摘した。


これに反発した教師陣に学園長はやむ終えず強硬手段に出た。
陰で辺境伯爵令嬢を痛めつけ、侯爵令嬢を窘められなかったと陰で暴言する生徒に対しても罰を与えるべきだと物申したが、逆に学園長に指導者としての資格がないと責める保護者が続出し今回の責任も学園長に押し付ける形となり辞任を強いられてしまった。



学園長自身は、致しかなたないと考えた後に学園長代理を推薦した。
引継ぎをすべて終えた学園を去る形になったのだが、教師達は今時時代遅れな聖職者気取りな学園長を追い出せたことに喜んでいたが、後任となる学園長がどんな人物か知らずにいた。



そう、学園長は言ってみれば聖職者のような人物だった。
対する後任となる新学園長は厳格な性格で現実主義だったことからいかなる理由があろうとも不正は許さず、また情の訴えも許さない正確ゆえに…


「職務怠慢な教師は不要です。即解雇です」

「そんな!お待ちを…」


「教職に向いていませんね。教育協会にも伝えます。すぐに教職の資格を返上してください」


情け容赦もなく、これまでの怠慢を行った教職員はもちろんのこと教師として必要なスキルがあるか再度試験を行い少しでも基準点に満たなければ即解雇されてしまった。

解雇された後は行き場はなく、尚且つ名門校を解雇されるなど余程の事をしたのだと噂が流れ最後は無職となる始末だった。


勿論、実家からも追い出されてしまい行く当てがなくなるという結末だ。



前任の学園長ならばこんな真似はしない。
だが、今の学園長はかなりの合理主義で、尚且つ生徒達にも今後の新たなカリキュラムを導入して授業態度を見直させるようにしたのだった。



その所為で生徒の三割は自主退学。
二割は停学と半分しか生徒は残らなくなり、実力のある生徒だけが残った。


その例外も存在するのだが、落ちこぼれ組とよばれる生徒の処遇はかなり過酷な環境だった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「だから結婚は君としただろう?」

イチイ アキラ
恋愛
ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。 黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。 救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。 プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。 それを。 あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。 アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。 …そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。 けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。 「君を愛することはない」 と。 わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。

何を間違った?【完結済】

maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。 彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。 今真実を聞いて⋯⋯。 愚かな私の後悔の話 ※作者の妄想の産物です 他サイトでも投稿しております

もう尽くして耐えるのは辞めます!!

月居 結深
恋愛
 国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。  婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。  こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?  小説家になろうの方でも公開しています。 2024/08/27  なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい

矢口愛留
恋愛
【全11話】 学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。 しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。 クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。 スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。 ※一話あたり短めです。 ※ベリーズカフェにも投稿しております。

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

過去に戻った筈の王

基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。 婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。 しかし、甘い恋人の時間は終わる。 子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。 彼女だったなら、こうはならなかった。 婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。 後悔の日々だった。

処理中です...