上 下
76 / 96

60意味のない謝罪

しおりを挟む




二度にわたる暗殺未遂事件が起きたことで学園内では更に大騒ぎになった。


「申し訳ありません!」

学園長が頭を下げてくださったけど意味のない謝罪だった。


「謝罪は結構です。本日が最後となりますので」

「それは…はい」

「今後私はこの学園にかかわることは致しません。何があっても私には無関係です」

「無関係とはあまりにも…」

隣にいる学園長の補佐が私を睨むも…


「事実だろう。彼女は留学した後に我が国の学園で卒業するのだから。生徒の自主性を重んじるというが。生徒に役目を丸投げした結果がこれだ…今後は注意してくれ」


「それは…もう」

「ですが、今後は…」

「勿論、今回の事でカリスタ王国との交換留学は白紙になるだろうし、留学している我が国の貴族も早々に帰国の命令が下るだろう…殺人未遂事件の生る学園に置くわけにはいかない」

「では援助は!」

「勿論打ち切りだ。ただし…キャンベル嬢の留学に関しては我が国が責任を持つので貴方達は気にしなくてもいい」


まるで遠回しに学園とは一切かかわらない。
今後も関わることもないのでそちらも関わるなと言っているようだ。


「はい、存じております」

「学園長!」

「止めないか、この度の問題は我らの責任だ…これまで問題を彼女に押し付けた結果だ」


押し付けられたとは思っていない。

でも先生側にももっとできることがあったはずだ。
それをすべて放棄することはもうしないでほしい。


「学園長、私はこの学園で学んだことを生かして隣国でも精いっぱい頑張ろうと思います」


「ええ…どうか隣国でも頑張ってください」



補佐の方は未だに不満そうにして私を睨んでいたけど、構わない。
挨拶に来たのだから。


見送りは断り、学園長室を後にした。




なんともあっさりした別れであるけど、これでいい。




しばらくは学園内で荒れるだろう。
世間の噂の的になり、大変なことになるだろうけど。


私はもう部外者だから何もできない。



「リーゼロッテ様!」

「リゼでいいわ」


「では私の事をステラと呼んでください」

「おい…」

「ああ、貴方は馴れ馴れしく呼ばないでくださいね?言っておきますけど私は勉強して出世して何時かリーゼロッテ様を奪って見せます!私はお姫様を魔王から奪還する勇者になります!」


拳を突き上げていうことなのか。

それ以前に何か違うような気がするのだけど。


「その前に試験に受かれ、試験に」

「ここまでいたら満点で合格して見せます」

「そう簡単に行くか」


留学する絶対条件は隣国の編入試験で三位以内に入ることだ。


かなり厳しいのだけど…

その三日後、キャンベルさんの試験の結果は…



「やりました!首席です」

「嘘…」


カリスタ王国の王立学園の編入試験の結果は首席だった。
聞けば中間考査代わりの試験だったのだけど、500点満点で何故か515点だったとか。



「何で500点満点で515点なんだ!」


「レグルス様、教員の話曰く問題のミスだったとか…問題の訂正をした後に二つ答えを回答したようです。しかも試験の制限時間よりも30分早く解いたとか」


なんということか。
こうして正式に留学が決まったステラは堂々と留学することがきっまった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「だから結婚は君としただろう?」

イチイ アキラ
恋愛
ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。 黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。 救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。 プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。 それを。 あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。 アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。 …そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。 けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。 「君を愛することはない」 と。 わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。

もう尽くして耐えるのは辞めます!!

月居 結深
恋愛
 国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。  婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。  こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?  小説家になろうの方でも公開しています。 2024/08/27  なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい

矢口愛留
恋愛
【全11話】 学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。 しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。 クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。 スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。 ※一話あたり短めです。 ※ベリーズカフェにも投稿しております。

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

過去に戻った筈の王

基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。 婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。 しかし、甘い恋人の時間は終わる。 子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。 彼女だったなら、こうはならなかった。 婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。 後悔の日々だった。

前世と今世の幸せ

夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。 しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。 皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。 そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。 この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。 「今世は幸せになりたい」と ※小説家になろう様にも投稿しています

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

処理中です...