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59決めた事
しおりを挟む私の気持ちは変わらない。
何を言われても考えが変わることないのだから。
「そんなの…アンタが勝手にしたんじゃない」
「アグネス…」
「私は頼んでないわ!勝手に私の為にしたんでしょ?なのに今更そんなことを言うなんて最低よ!」
私の言葉は彼女には無意味だった。
解っていたけど言わずに入れなかったのだから。
「王都に来て私が優しくしてあげたのに!友達にしてあげたのに!その恩をあだで返すなんて」
私を責め続けるアグネスにレオが睨みつけ言葉を放つ。
「君は何所まで上から目線なんだ。友達とは損得のあるものか…」
「私と一緒にいたからアンタは周りからもそれなりに診てもらえたんじゃない!サリオンだって私の友達じゃなかったら見向きもしない!」
「貴族同士の付き合いは利益があるが…少なくともリゼは君と対等だったはずだ。友である君を支えたいと思った気持ちを利用したんじゃないか」
「だったらなんだっていうの?利用して何が悪いのよ…じゃなきゃリゼなんかと友達にならないわ!それだけしか価値がないんだから!」
「…これ以上の話は無意味だな」
「解っていましたから」
言いたいことは言った。
アグネスが納得してくれるとは思わなかったけど、言いたかった。
言わずにいられなかった。
「もう会おう事はありません」
「リゼ!」
「貴女と私はもう道が交わることはない。だからこれでお別れです」
どんな罵倒を言われても私はもう傷つかない。
「そして皆さん」
他の生徒を見て私は頭を下げる。
「この度は学園を騒がせてしまった事を心からお詫びします」
最後はケジメをつけなくてはならない。
私の後任となるのはヒギンズ侯爵夫人の甥に当たる方。
「ケネオス様、後任をお引き受け下さりありがとうございます」
「あっ…いや」
「私は役目を全うできませんでした。ですが貴方ならば心配ありません」
ヒギンズ侯爵夫人の血縁者ならば私よりもしっかりと学園を外から守ってくださるだろう。
「皆さん、私は隣国に留学が決まりました」
「えっ…留学?」
「まさかレグルス殿下との婚約は本当だったの!」
「そんな…」
私がいなくなることを惜しんでくれているわけではない。
いなくなれば困ることがあるとすれば、都合の良い人間がいなくなることが困るだけだ。
「リーゼロッテ様…」
「何をそんな顔をしているんです」
私を心配そうに見ているキャンベルさんの手を握る。
誰に非難されても平気だわ。
だってもう未練はないのだから。
「何でキャンベルさんと手を?」
「まるで友人のように」
「もしかしてあの噂も本当なんじゃ?」
更にヒソヒソ話す生徒達。
キャンベルさんとの距離が近いことに違和感を感じたのだろう。
「リゼ!アンタ!」
アグネスは私とキャンベルさんが親しくしていることを裏切りだと思ったのだろう。
周りの生徒も。
でも、何を誤解されてもいい。
もうこの学園を去るのだし。
周りの目を気にするのを止めたのだから。
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