68 / 97
53熱い抱擁~ステラside
しおりを挟むマナー違反をしてしまった事は解っている。
でも心配で仕方なかった。
あの腹黒貴公子の話曰く、リーゼロッテ様をかくまっていると聞いていたけど。
「リーゼロッテ様、ごめんなさい…私の所為で」
「貴女に謝られる必要はありません。何も悪いことをしていないのだから」
「リーゼロッテ様…」
変わらない言葉だった。
厳しさはあれど優しさを感じる。
私が馬鹿だったからこんなことになったのに。
リーゼロッテ様は私を許してくださった。
「この腹黒に何もされてませんか?監禁なんて」
「キャンベルさん、言葉の使い方を間違えていますわよ」
「この腹黒男を信じてはいけません!この男は血も涙もないのだから」
見た目は綺麗な顔立ちだけど、外見に騙されてはダメだって伝えないと。
「見て…なんて事なの」
「身の程を弁えないで」
「リーゼロッテ様も黙ってるなんて」
そんな中私を中傷する声が聞こえる。
私だけならまだいいけど、リーゼロッテ様が責められるのは許せない。
「人をジロジロ見るのは失礼なことだと忘れてしまっている人がいるようだな」
「お兄様…」
「それともわざとか?」
壁になるように騎士様は、私に嫌味を言う生徒を睨みつける。
「それとも、我が妹を侮辱したいがためにか?」
「そっ…そんなつもりは」
「ではどんなつもりか?そういえば彼女はこの学園で集団リンチをされたいたとか。領地に戻ったら王都貴族はそんな悪趣味な遊びがあると伝えなくては…」
「なっ…」
「そんなことをされたら!」
相当困るのか。
詳しくは解らないけど王都より辺境地の方が噂が周りのが速いし、商人が海を越えて言いふらしたら最悪かもしれない。
「そういえば、嫌味を言っていた君は先日婚約者に捨てられたんだったか」
「なっ…」
「まぁ、由緒正しき騎士団の息子なら他者を虐げる性悪な女性なんて願い下げだな」
何の話をしているのかわからず首をかしげるが、背後で私の悪口を言っていた女子生徒は涙を浮かべたり、倒れそうになったりと大忙しだ。
「先日公開された映像では犯罪間がない真似をしていたのはデビル令嬢だったな」
「デヴィです!」
「まるで悪魔のような令嬢だな。ああいうのは悪女というのか…私は身分は低くとも性根のまっすぐな女性の方が好ましい。君のような」
「えっ…」
「君はそのままでいい」
これまで否定されることが多かったので、騎士様の言葉に私はときめいていしまった。
まるで絵本に出て来る王子様のよう。
そう理想の王子様だった。
殿下た腹黒貴公子と正反対だわ。
ときめいている私だったけど背後から不愉快な声が聞こえた。
「リゼ!」
できれば聞きたくない人の声だった。
2,457
お気に入りに追加
8,001
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢の立場を捨てたお姫様
羽衣 狐火
恋愛
公爵令嬢は暇なんてないわ
舞踏会
お茶会
正妃になるための勉強
…何もかもうんざりですわ!もう公爵令嬢の立場なんか捨ててやる!
王子なんか知りませんわ!
田舎でのんびり暮らします!
【完結】殿下の本命は誰なのですか?
紫崎 藍華
恋愛
ローランド王子からリリアンを婚約者にすると告げられ婚約破棄されたクレア。
王命により決められた婚約なので勝手に破棄されたことを報告しなければならないのだが、そのときリリアンが倒れてしまった。
予想外の事態に正式な婚約破棄の手続きは後回しにされ、クレアは曖昧な立場のままローランド王子に振り回されることになる。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
式前日に浮気現場を目撃してしまったので花嫁を交代したいと思います
おこめ
恋愛
式前日に一目だけでも婚約者に会いたいとやってきた邸で、婚約者のオリオンが浮気している現場を目撃してしまったキャス。
しかも浮気相手は従姉妹で幼馴染のミリーだった。
あんな男と結婚なんて嫌!
よし花嫁を替えてやろう!というお話です。
オリオンはただのクズキモ男です。
ハッピーエンド。
妹を叩いた?事実ですがなにか?
基本二度寝
恋愛
王太子エリシオンにはクアンナという婚約者がいた。
冷たい瞳をした婚約者には愛らしい妹マゼンダがいる。
婚約者に向けるべき愛情をマゼンダに向けていた。
そんな愛らしいマゼンダが、物陰でひっそり泣いていた。
頬を押えて。
誰が!一体何が!?
口を閉ざしつづけたマゼンダが、打った相手をようやく口にして、エリシオンの怒りが頂点に達した。
あの女…!
※えろなし
※恋愛カテゴリーなのに恋愛させてないなと思って追加21/08/09
「だから結婚は君としただろう?」
イチイ アキラ
恋愛
ホンス伯爵家にはプリシラとリリアラという二人の娘がいた。
黒髪に茶色の瞳の地味なプリシラと、金髪で明るい色彩なリリアラ。両親は妹のリリアラを贔屓していた。
救いは、祖父母伯爵は孫をどちらも愛していたこと。大事にしていた…のに。
プリシラは幼い頃より互いに慕い合うアンドリューと結婚し、ホンス伯爵家を継ぐことになっていた。
それを。
あと一ヶ月後には結婚式を行うことになっていたある夜。
アンドリューの寝台に一糸まとわぬリリアラの姿があった。リリアラは、彼女も慕っていたアンドリューとプリシラが結婚するのが気に入らなかったのだ。自分は格下の子爵家に嫁がねばならないのに、姉は美しいアンドリューと結婚して伯爵家も手に入れるだなんて。
…そうして。リリアラは見事に伯爵家もアンドリューも手に入れた。
けれどアンドリューは改めての初夜の夜に告げる。
「君を愛することはない」
と。
わがまま妹に寝取られた物語ですが、寝取られた男性がそのまま流されないお話。そんなことしたら幸せになれるはずがないお話。
見た目を変えろと命令したのに婚約破棄ですか。それなら元に戻るだけです
天宮有
恋愛
私テリナは、婚約者のアシェルから見た目を変えろと命令されて魔法薬を飲まされる。
魔法学園に入学する前の出来事で、他の男が私と関わることを阻止したかったようだ。
薬の効力によって、私は魔法の実力はあるけど醜い令嬢と呼ばれるようになってしまう。
それでも構わないと考えていたのに、アシェルは醜いから婚約破棄すると言い出した。
過去に戻った筈の王
基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。
婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。
しかし、甘い恋人の時間は終わる。
子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。
彼女だったなら、こうはならなかった。
婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。
後悔の日々だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる