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53熱い抱擁~ステラside

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マナー違反をしてしまった事は解っている。

でも心配で仕方なかった。
あの腹黒貴公子の話曰く、リーゼロッテ様をかくまっていると聞いていたけど。


「リーゼロッテ様、ごめんなさい…私の所為で」

「貴女に謝られる必要はありません。何も悪いことをしていないのだから」

「リーゼロッテ様…」

変わらない言葉だった。
厳しさはあれど優しさを感じる。


私が馬鹿だったからこんなことになったのに。
リーゼロッテ様は私を許してくださった。


「この腹黒に何もされてませんか?監禁なんて」

「キャンベルさん、言葉の使い方を間違えていますわよ」

「この腹黒男を信じてはいけません!この男は血も涙もないのだから」



見た目は綺麗な顔立ちだけど、外見に騙されてはダメだって伝えないと。



「見て…なんて事なの」

「身の程を弁えないで」


「リーゼロッテ様も黙ってるなんて」



そんな中私を中傷する声が聞こえる。
私だけならまだいいけど、リーゼロッテ様が責められるのは許せない。


「人をジロジロ見るのは失礼なことだと忘れてしまっている人がいるようだな」

「お兄様…」

「それともわざとか?」


壁になるように騎士様は、私に嫌味を言う生徒を睨みつける。


「それとも、我が妹を侮辱したいがためにか?」


「そっ…そんなつもりは」

「ではどんなつもりか?そういえば彼女はこの学園で集団リンチをされたいたとか。領地に戻ったら王都貴族はそんな悪趣味な遊びがあると伝えなくては…」

「なっ…」

「そんなことをされたら!」


相当困るのか。
詳しくは解らないけど王都より辺境地の方が噂が周りのが速いし、商人が海を越えて言いふらしたら最悪かもしれない。



「そういえば、嫌味を言っていた君は先日婚約者に捨てられたんだったか」

「なっ…」

「まぁ、由緒正しき騎士団の息子なら他者を虐げる性悪な女性なんて願い下げだな」

何の話をしているのかわからず首をかしげるが、背後で私の悪口を言っていた女子生徒は涙を浮かべたり、倒れそうになったりと大忙しだ。


「先日公開された映像では犯罪間がない真似をしていたのはデビル令嬢だったな」

「デヴィです!」

「まるで悪魔のような令嬢だな。ああいうのは悪女というのか…私は身分は低くとも性根のまっすぐな女性の方が好ましい。君のような」

「えっ…」

「君はそのままでいい」


これまで否定されることが多かったので、騎士様の言葉に私はときめいていしまった。


まるで絵本に出て来る王子様のよう。


そう理想の王子様だった。


殿下た腹黒貴公子と正反対だわ。




ときめいている私だったけど背後から不愉快な声が聞こえた。


「リゼ!」


できれば聞きたくない人の声だった。



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