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48すべての原因
しおりを挟む誰かが一方的に悪いのかと聞かれれば即答はできない。
虐めは虐める側が悪いとされているけど、虐められる側には全く問題がないと言われたらどうなるか。
勿論全面的にいじめる側が悪いのだけど。
「今回の事は一方にだけ責任があるわけではないと思うんです」
「リゼ…」
「その為にも、白黒はっきりつける為に私は最後の手段を取りました」
ここでいがみ合っても仕方ない。
お兄様がここまで暴走したのは私がこれ以上傷つかないようにするためだわ。
隣国に行けば、お父様とお兄様は介入できない。
きっと心配で心配で仕方ないのだろう。
サリオンとの関係は最悪な形で終わってしまったけど。
今の私はもう同じ間違いをしない。
ちゃんと判断ができるけど、言葉だけでは解ってもらえないかもしれない。
「お兄様、私は利用されていました…洗脳に近い状態にありました」
「だろう!」
「ですが、私はちゃんと報復する準備もしていました」
そう、最後の最後まで使いたくなかった。
「レオ、お願いした物は」
「ああ…この箱に」
テーブルに置かれている箱に視線を向ける。
その中には私がこれまで警備の為に設置した映像と音声が入っている。
勿論あの二人の行った悪行も。
「お父様、これを証拠に国王陛下に提出してください。そして夫人会の幹部の皆さんにも」
ここには今までキャンベルさんに嫌がらせをした映像だけでなく、中位貴族や辺境地に住まう貴族令嬢をあしざまに扱っていた生徒の映像が映っている。
学園内でも派閥争いをしている証拠がしっかりと入っている。
「リゼ…まさか」
「当初はキャンベルさんの虐めを減らすフェイクとして設置しました」
私の予想通り、学園内のいたるところに監視の目がある所為で虐めは減った。
でも監視がない場で隠れて嫌がらせをするようになったのだから。
だから隠れて設置した。
勿論警備隊や学園内の用務員さんにも事前に知らせていた。
「私が万一の時の為に保険と仕掛けました。全校生徒の前でこれを流していただきます」
「リゼ…君は最後の最後に賭けたのか」
「はい、このまま無傷だなんて許せません」
でも、本当はここまでしたくなかった。
あの時、サリオンに殴られ、意識を手放す間際にアグネスの表情を見た時に残った情は消え去ったわ。
私が殴られているのを見て罪悪感の欠片もなく笑っていたのだから。
まるで自業自得だと言わんばかりの表情。
そして今も私に謝罪することなく悪い噂だけを流している現状が許せなかった。
「お父様、私は二人を許す気なんてありませんわ」
そう、絶対に許さない。
公の場で二人には何をしたか見てもらうわ。
私を侮辱し、辺境貴族を侮辱した罪がどれ程重いか解らせる必要がるのだから。
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