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46兄の暴走
しおりを挟む学園で私に対して厳しいことを言ったの当然だった。
なのだけど。
「妹は幼少期から洗脳に近い状況でした。それを悪いと?」
「お兄様!悪いと言っているのではありません」
「お前は黙っていろ!俺は隣国に行くのを両手を上げて喜んで言いないのだからな!」
必死にお父様が抑え込んでいるのに少しでも力を緩めたら大暴れしそうだった。
狂乱の騎士と言われるだけあって、力も半端ないわね。
「止めないか!殿下の言葉は厳しいが…第三者から見ればそう思われるのだ」
「辺境伯爵令嬢という立場を考えれば馬鹿殿下の婚約者に強く出れないのは当然です。しかも性悪女とあの男。二人を相手に上手く立ち回れ?無茶なんですよ」
「それは承知している…だが、リゼは彼らを庇い過ぎたのも事実だ」
「不敬罪承知で申し上げます。レグルス殿下は妹が大公の孫だから欲しているのではありませんか」
「お兄様!」
なんてことを言うのか。
「リゼ、お前も弱っていたから優しくされて絆されたのなら今すぐ断れ!お兄ちゃまが守ってあげるから」
「お兄ちゃまって…」
「昔はそう呼んでくれただろ!そうだ。俺が一生面倒見てあげるから…国には屑しかいない。もう外に出すのは」
「ええい!いい加減にせぬか!」
「可愛い妹がろくでなしと一緒になるなんて耐えられん!」
以前からお兄様がサリオンに対してあたりが厳しいと思ったけど。
サリオンに限らずだったのか。
そういえば同年代の殿方にも…
「兄君…」
「兄と呼ばないでください!隣国の王族でなかったら串刺しにしてやるのに!」
「お前はどこまでシスコンなんだ!」
「父上だって、婚約をぶっ壊すために暗殺計画を考えていたではありませんか」
「そんなことをしたんですか!」
お父様まで何をしているの。
頭を抱えたくなった。
でも、今優先するのは一つだわ。
お兄様の暴走を止めることと、レオに対する誤解を解かなくては。
「お兄様、私は誰でもいいから優しくされたいなんて思ってませんわ」
「しかし…」
「確かに心が弱っていました。ですが、レオに出会わなかったら私は最低な人間に成り下がっていたかもしれません」
そう、キャンベルさんの虐めを止めることもできず仕方ないと思うしかなかった。
そして、流されるまま二人のいいななりになるしかなかった。
そんなことになったら辺境貴族令嬢として最も恥ずべき行為となり、他の辺境貴族からお父様とお兄様がどんな仕打ちを受けるか。
「そもそも学園側も宰相閣下もお前に丸投げしていてだろうか。クソ王子はもは殺しても殺したりん」
もしここが王宮だったら不敬罪で死刑だわ。
でもお兄様が大人しく殺されるような真似はしないけど。
困り果てる中…
「アルステッド様、いい加減にしてくださいませ」
アンナの冷たい声が聞こえた。
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