所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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44学園での調査~アリエットside

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女子寮に潜入することになったが、あくまで私の仕事は女子寮の警備や監督のみだった。
個人の部屋に入ることはないし、私生活にかかわる真似はしない。


共同スペースの掃除や、寮内の警備を主に行っている。
古い寮なので色々不具合が出て来るし、寮で暮らす生徒達の食事の準備をしたり買い出しや、親代わりのようなものだ。


正直ホッとした。


寮母と言っても住まいは別だったし、何かあったらすぐに駆け付けられる距離にいた。
ただし寮母を装って学園内の調査をするのを怠らないように心掛けたが、ミカエラ様の読み通り学園側は生徒同士の諍いに関与しないとしているが、教師としての役割を放棄していないか?とも思った。


見えない馬車で生徒同士のいがみ合いは多く、本来の目的を忘れている。


「まったくどうしようもない人ね。リーゼロッテ様は」

「偽善者もいい加減にして欲しいわ。辺境貴族令嬢の癖に…」

「学園内の警備責任を任されたとか調子に乗っているんじゃない?平民の生徒が大きな顔をしているから私が解らせてやったのに説教するなんて」

「第一何様なのかしら?アグネス様の腰巾着なら相応の行動をすべきなのに」


何所にいても陰口が聞こえる。
現在学園内ではある女子生徒の事でも問題になっている。



例の転校生、ステラ・キャンベル。


平民でありながらも特別枠で貴族が通う名門校に平民の少女が転入したという噂。

何でも王太子殿下を筆頭に生徒会メンバーが世話を焼いている所為で悪い噂が流れたとか。



「あの…アリーさん」

「あら?いらっしゃいステラちゃん」

「あの…ボタンが取れてしまって」


悪女とも噂があるのだけど。


「どうしたらいいか…」


「私に任せなさい」


噂とは一致しない。


「はいどうぞ」

「わぁ!アリーさんはやっぱり魔法使いさんですね!黄金の魔法使い」


「ありがとう…」


そう、決して彼女は悪女じゃない。
男を手玉に取るなんてことを知らない純粋な少女だ。



家族思いで、努力家の優しい女の子。
いかに優秀であっても努力なしに貴族が通う学校で進級するのは難しい。

試験も多くて、すべての試験で一度でも赤点を取れば即退学なのだから。


「そんなことないわよ、練習すればできるわ」

「お針は苦手で」

「そういいながら、刺繍を熱心にしていたでしょ」

「はい…もうすぐ母のお誕生日で」


特待生と言えど、免除されるのは学費だ。
生活費などは仕送りなので、ご両親も大変だろう。

週末や長い休みに帰りたくても、旅費を稼ぐのは難しい。


「そう…だったら庭師さんにお花をいただきましょう。お母様は喜ぶわよ」

「はい!ありがとうございます」


裏表のない少女だった。
両親を気遣う優しく温かみのある少女だったのに、噂とは本当にいい加減だった。

同時にもう一人、偽りの噂に苦しむ令嬢がいた。


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