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41天敵となった瞬間~ステラside

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私を試すような表情。
蔑むわけではない、でも気分のいいものじゃない。


「貴方は隣国の貴族様でしょう。なんの得があるんですか」

「ちょっ…」

「構わない」

寮母さんが私を止めようとしたけど、私は彼に不快感を抱く。


「貴方からすれば私は馬鹿に見えるのでしょう。同時にリーゼロッテ様も愚かだとお思いなのでしょうね?」

「何が言いたい…」

「黙って聞いていれば何様ですか。私は確かに間違いをしました…でも間違わない人間なんているんですか?貴方はリーゼロッテ様を悪く言えるほど何かしたんですか。部外者の偉そうに」



国同士の政治だとかは解らない。


でも一つだけ解るのは。

「私は貴方が不愉快です」

「ほぉ?」

「貴方は確かにリーゼロッテ様を助けてくださった。でも…あんなことになる前に助けられたんじゃないですか?」



隣国の高位貴族ならリーゼロッテ様を助けられたはずだわ。
怪我を負う前に。


何もしてこなかった私が、何もできなかった私が言う資格はないかもしれない。

でも見ず知らずの人にここまで言われる筋合いはあるの?


「私は馬鹿だったかもしれない…でも平民の私が貴族に言えますか?孤立している私が…そしてあの人と友人であるリーゼロッテ様だって言えるはずがない!でもあの方は…」


リーゼロッテ様は直接ではないにしろ私を助けてくださった。
間接的にだけど。


私がこれ以上傷つかないように。


「何もしなかった癖に。何もできなかった癖に偉そうなこと言わないでください!」


私の苦しみを知らない癖に。


リーゼロッテ様があの時どれだけ怖かったか知らない癖に。


私を庇いながらも震えていた。


王太子殿下の婚約者に歯向かうことは私が思う以上に恐ろしかったんだ。

なのに助けてくれた。


「私の中で最も嫌悪する屑男にランクインしました。貴方は敵です!」


そう、この人が嫌いだ。


嫌いなんてものじゃないわ。


もしここに箒があったら、その綺麗な顔をボコボコにしてやりたい。


「敵か…それでもいいが」

「何がいいんです」

「こちらも君と慣れある気もない。君の王子様のように私は来るもの拒まずじゃない」

「私にも選ぶ権利はあります」

なんなのこの人。
さっきから私をイラつかせてばかりだわ。



「第一、殿下と私はそんな関係ではありません」


皆して勝手に邪推して。
私と殿下は特別な関係じゃないのにどうして勘違いをするの!


「第一、私は平民です。王族の方と平民が恋愛関係になるなんて夢を見過ぎです」



「ほぉ…君はわりと現実主義だな」

「貴方は夢を見過ぎなんですね」


私はこの時頭に血が上っていた。
自分の発言がどれだけ危険な事などとも気づかなかった。


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