上 下
49 / 106

38顔を上げて~ステラside

しおりを挟む

学園内で様々な噂が流れる中、噂に左右されて学業に集中できない生徒が多い中、中間考査が始まった。

結果は前回優秀な成績を収めた生徒は成績がガタ落ちしてしまった。
対する私はなんとか首席を守ることができた。

この学園に通う条件でもあるのでホッと安心する。


「最低ね…」

「誰が原因でこうなったと」

「なのに、なんて図々しいのかしら」


こんなの平気だわ。
ずっと言われてきたのだから。


あの事件以来、生徒会室には誰もいない。
今回の一件で生徒会幹部の皆さんも呼び出されて聞き取りを行われた。

幹部以外の数名の皆さんは自主退学をしたそうだ。
聞けば彼らの婚約者が私への虐めに関与しており、またリーゼロッテ様の良くない噂を広めたことで婚約解消となったと風の噂で聞いた。


親しいわけではない。
でも彼らは私を色眼鏡で見ることはなかった。

言葉を交わしたのは挨拶か、業務的なものだ。



生徒会の幹部が動けない今は生徒会は活動停止だった。


そんな中、時間は待ってくれない。
中間考査が始まり、授業に集中できない生徒がいたけど、先生達は待った無しだった。


噂が気になる生徒は授業そっちのけだったのか成績がガタ落ちになり、クラスが降格になり。
酷すぎる生徒は留年、もしくは退学となった。


私のように特待生ではない生徒もひど過ぎる成績だと退学になると聞く。


そして退学になった生徒の友人は私を恨み始めた。


「アンタの所為で退学になったのよ!」

「そうよ!責任を取りなさいよ」

違う…


退学になったのはちゃんと勉強していないから。


貴女達が私に嫌がらせをしている間。


私は必死で勉強していたんだから。



彼女達の言葉が理不尽だった。
今までなら傷ついたけど、雑音に聞こえる。


そう、今の私にとって彼女達の八つ当たりなんてどうでもいい。



勉強しないと。



ここで成績を落とせば、これまで助けてくださったリーゼロッテ様に合わせる顔がない。


今はどうしているか解らない。


でも、無事だとあの人が教えてくださった。


なら私がいますることは、この学園でしっかり学ぶべきことを学ぶこと。



「いい加減にしてください」

「何?」

「邪魔なんです」

「なっ!」


私の勉強を邪魔する彼女達を睨みつける。


「皆さんはここに何をしに来ているんですか?学ぶ意思がないなら必要ありません」


「何ですって!」

「ここでするのは他人を罵倒する事でも、他人の足を引っ張ることでもありません。みっともない」


私は…



ずっと頑張って来た。


努力してこの学園で首席を守って来た。


だから顔をあげなくては。


声に出さなくてはならない。


リーゼロッテ様がおっしゃってくれたように。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

もう尽くして耐えるのは辞めます!!

月居 結深
恋愛
 国のために決められた婚約者。私は彼のことが好きだったけど、彼が恋したのは第二皇女殿下。振り向いて欲しくて努力したけど、無駄だったみたい。  婚約者に蔑ろにされて、それを令嬢達に蔑まれて。もう耐えられない。私は我慢してきた。国のため、身を粉にしてきた。  こんなにも報われないのなら、自由になってもいいでしょう?  小説家になろうの方でも公開しています。 2024/08/27  なろうと合わせるために、ちょこちょこいじりました。大筋は変わっていません。

アリシアの恋は終わったのです【完結】

ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。 その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。 そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。 反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。 案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。 ーーーーー 12話で完結します。 よろしくお願いします(´∀`)

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

元婚約者は戻らない

基本二度寝
恋愛
侯爵家の子息カルバンは実行した。 人前で伯爵令嬢ナユリーナに、婚約破棄を告げてやった。 カルバンから破棄した婚約は、ナユリーナに瑕疵がつく。 そうなれば、彼女はもうまともな縁談は望めない。 見目は良いが気の強いナユリーナ。 彼女を愛人として拾ってやれば、カルバンに感謝して大人しい女になるはずだと考えた。 二話完結+余談

【完結】無能に何か用ですか?

凛 伊緒
恋愛
「お前との婚約を破棄するッ!我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」 とある日のパーティーにて…… セイラン王国王太子ヴィアルス・ディア・セイランは、婚約者のレイシア・ユシェナート侯爵令嬢に向かってそう言い放った。 隣にはレイシアの妹ミフェラが、哀れみの目を向けている。 だがレイシアはヴィアルスには見えない角度にて笑みを浮かべていた。 ヴィアルスとミフェラの行動は、全てレイシアの思惑通りの行動に過ぎなかったのだ…… 主人公レイシアが、自身を貶めてきた人々にざまぁする物語──

最初から間違っていたんですよ

わらびもち
恋愛
二人の門出を祝う晴れの日に、彼は別の女性の手を取った。 花嫁を置き去りにして駆け落ちする花婿。 でも不思議、どうしてそれで幸せになれると思ったの……?

【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。 先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。 エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹? 「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」 はて、そこでヤスミーンは思案する。 何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。 また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。 最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。 するとある変化が……。 ゆるふわ設定ざまああり?です。

私が我慢する必要ありますか?

青太郎
恋愛
ある日前世の記憶が戻りました。 そして気付いてしまったのです。 私が我慢する必要ありますか? 他サイトでも公開中です

処理中です...