所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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36花束とぬいぐるみ

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侯爵領に派遣していた騎士達はすべて撤退した後に、伯爵家に援助を完全に断ち切りったことで双方に大きな打撃を受けることになった。


だけど、ここまでは妥当なものだ。



なのだけど、問題は彼らがまったく反省の色がないことだ。
このままだとうやむやにされてしまう。

私にした仕打ちだけでなく、我が家を見下した彼らを野放しにすればお父様とお兄様はどうなるか。


「リゼ?入ってもいいかな?」

「レオ?どうぞ」


一人考え込んでいると扉の向こうから声が聞こえた。



「リゼ…」

「あら?その花束と…ぬいぐるみ?」

レオに手に持ってるのは花束とぬいぐるみだった。


「どうしたんですか?それ…」

「例の女子生徒からだ」

「え?キャンベルさん?」

何故キャンベルさんがレオに?
ここ数日邸に戻らなかったレオは学園に行っていたのね。


「君の留学の手続きもだが…彼女の事が気になってね」

「優しいんですね」

「人として当然だ。彼女は才能ある生徒だ…なのに茶番劇の被害者になった」


言われてみればどうだわ。
キャンベルさんは貴族社会の事はほとんど知らない。

なのに、周りが彼女を孤立させ、巻き込まれて学業にも手中できなくなってしまった。


「彼女はあの日から君の事を探していたそうだ…見つける手段はないのに」

「何故?」

「謝りたかったそうだ…」


彼女が私に謝る必要はないのに。
結局ちゃんと守ることもできなかった。


「君はちゃんと彼女を守ったよ…だからこそあんな騒ぎがあっても彼女は成績をキープしている。今は最高ランクのバッチを手に入れている」

「そうなんですか!」

すごいわ。
やっぱり彼女は優秀な生徒なのね。

実力だけでのし上がってきたのは間違いないわ。


「彼女はここで成績を落とせば君に申し訳ないと言っていた。これは渡せないと解ってながら靴箱に入れていたそうだ」


「ありがとうございますレオ」


ちゃんと会話をしたことはなかった。
立場が異なっていれば私達は友達になれたのではないだろうか。



私は彼女を嫌いだと思ったことはない。
むしろ努力を怠らない彼女をすごいと思ったのだから。



「リゼ、俺は彼女が惜しくなったよ」

「え?」

「彼女の自由研究を見たけど、見事だ…このままあの学園に残し腐らせるのは惜しい。既に彼女の才ならば文官補佐も可能だ。特に数字に強い」


見せられた研究を見ると領地経営に関するものだ。
優秀な生徒に傾いた領地をどうしたらいいか、特産物をどう売れば売れるか。

増税のご時世にどうしたら税を安くするか。


「すごい…これを」

「恐ろしい程の才だ…商人貴族でもここまでの案件は無理だ。どこでここまでの知識を身につけたか」


平民で貧しい家庭で育った彼女がどうやってこれほどの教養を学んだのか。

「彼女に目をつけた王族は相当の慧眼だ…実に惜しい」

「レオ、何を考えてますの」


にやりと笑う横顔がミカエラ様にそっくりだった。


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