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30とある少女の苦悩④

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以前使っていた体操着はお古だった。
とはいえ私からしたら真新しいものだったけど、他の生徒からすれば貧乏くさいと言われていた。


でも今手元にあるのは真新しいものだった。
教科書に関してもそうだ。


綺麗なもので、新しく。
授業に必要となる辞書まで添えられていた。


辞書の関しては授業料に入っていないので、お金をためて来年には買うつもりだった。
お母さんがこの学園に入る為に作ってくれた勉強かばんもビリビリにされていたのに修理されていた。


一体誰が…とも思ったけど。
もしかしたら知られたくないからこっそりプレゼントしてくれたのかもと思った私はこっそり小人だんと呼んでいた。



それからしばらくして、小人さんは頻繁に私に贈り物をくれるようになった。
嫌がらせで靴を汚されたら、代わりに新しい靴が。


そして一度嫌がらせがあると同じ嫌がらせはされなくなった。
その理由は私が物を隠されたらすぐに何処かで盗難予防等と対策がされたり、防犯強化期間などが行われた後に以前から靴箱に鍵をかけるか否かの相談がされていたらしく、鍵付きロッカーに代わった。


おかげで私の私物が盗まれたりいたずらされたりすることは無くなった。



モノだけでなく嫌がらせの数も極端に減ったのだ。




私が上級生に呼び出されていたころ…


「そこで何をしているんですか!」


「えっ・・」

「何で!」


何時ものように数名に囲まれ突き飛ばされた時だ。
タイミングよく学園内の庭師の人が現れ、注意をしてくれた。


「ここで何を…」

「えっと」

「まさか最近噂になっている虐め…ではないですよね?」


上級生は顔を引きつらせた。

「何を言うの!」

「そんなはずないじゃない!」

「そうですか。それは良かった…最近、人通りのない場所に防犯道具を設置するように命じられまして。本日はこちらにも設置する予定でして」

「防犯道具?」

「はい。最近学園内で虐めがあると。ですので犯人を捜すことに」



庭師さんの言葉に上級生の人達は更に顔を引きつらせている。


「へぇー…そうなんだ」

「でも、そこまでしなくても」

「万一本当に虐めでしたら学園の名を汚す行為ですので」


笑っているのに目が怖いと思った。


いつも優しい庭師のおじさんが…
上級生の人達は真っ青になりながら震えていた。


その後逃げるように去っていくのを見送った後に庭師さんに言われた。

「人目のない場所はお気をつけください。できるだけ人通りのある場所をお使いください」

「はっ…はい」

「学園の警備を増やすようにと命じられましたが、常に監視は不可能ですので」



命じられたと聞かされ誰かが私を助けようとしてくれている。

そう思えた。


「あの!庭師さんはここをあまり通られませんよね!」


まさかと思った。


私の考えすぎかとも思うけど。


「ええ、こちらの庭の花のしっかり手入れをしてほしいと言われましてね。普段手入れされていない花が枯れていないか…とある方に」


普段手入れされていない花。
この場には花はほとんどないわ。


「こちらの庭園は害虫対策をしていないせいで花が傷つくと」


この言葉で庭師さんの言葉の意図に気づく。


「日陰にいる花は目につきにくくので害虫の餌食になりやすいので」

「はい…」

「花が自身で身を守れるようにできるまで守るのも必要です」

そして、庭師さんが言うあの方というのが誰か解った気がする。




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